患者の心の隙につけ込む連中
人は、死を意識すると“何かにすがりたい”という本能が顔を出す。特にステージ4の大腸がんとなれば、「このまま終わるのか」という恐怖と、周囲に迷惑をかける罪悪感とが交差する。そこに、「治る方法がある」「副作用なし」という言葉を投げ込まれると、理性が崩れかけるのだ。
もちろん、ホワイト以外の治療法すべてが悪いとは言わない。グレーゾーンの自由診療にも、今後の医療を変える可能性を持つ技術がある。筆者が試した水素吸入療法がまさにグレーゾーンである。ただ、見極めが難しいのだ。信じたい心が目を曇らせる。
緩和ケアも“闘い”の一部
「もう治らない」と言われたとき、次に出てくるのが「緩和ケア」。だが、それは「諦め」ではない。最新の研究では、早期から緩和ケアを取り入れた方が、逆に生存期間が延びるという結果も出ている。
痛み、倦怠感、不眠、不安……こうした“がんとの共存”の苦しみを和らげることは、「闘いを続ける力」を与えるのだ。筆者も毎月、京都の寺院巡りを通じてストレス発散の旅を繰り返している。心が落ち着けば、身体もついてくる
山師のがんファイターとしての信条
がんと闘うとは、怪しい情報と闘うことでもある。情報は溢れている。だが、その9割は役に立たない。自分の命を預けるなら、“信頼できる医療”に賭けるべきだ。そしてがんとの共生を通じて「楽しく今を生きる」ことを信条としている。
ステージ4でも、まだ道はある。ブラック療法に騙されるな。ホワイト療法を信じ抜け。自分の身体の声を聞き、家族の目を信じろ。情報の波に呑まれるな。筆者の専門はレアメタルの山師だが、“命”は商売にしない。
