高齢世帯と現役世帯の家計の状況
ここでは、総務省統計局「家計調査」により、無職世帯と勤労世帯の収入や消費額、世帯構成などを見てみる。ただし、「家計調査」の各数値は世帯単位で得られるため、家計を構成する世帯人員の違いによって影響を受ける。
例えば、世帯人員や、世帯人員のうち有業人員が多いほど消費額や収入額が多くなるのは当然であろう。そこで、本記事で用いる各計数は、世帯ベースの計数を世帯人員数の平方根で除すことにより算出した、経済協力開発機構(OECD)でも使用されている等価尺度で換算し、世帯構成の影響を取り除いた等価世帯ベースとしている。
表1から分かる通り、「家計調査」の無職世帯の世帯主の年齢は75.4歳、勤労世帯の世帯主の年齢は、50.5歳となっているため、無職世帯を年金を受給する高齢世帯、勤労世帯を現役世帯と見なして差し支えないだろう。
表1によれば、実収入も、そこから所得税や住民税、社会保険料などを差し引いた可処分所得も、消費支出も、現役世帯の方が多くなっている。高齢世帯の収入のうち公的年金給付が占める割合は76.9%となっている。
また、エンゲル係数は高齢世帯の方が高く、高齢世帯ほど、昨今の物価上昇やコメを中心とした食料品価格の値上げの悪影響を強く受けている。メディアでの報道通り年金を受給する高齢世帯の生活は厳しいものになっていると言えそうだ。