私は2005年に「性従業者の非罪化」を提起したが、この「非罪化」は合法化と少し異なる。合法化とはドイツのように売春従事者が登録して政府に納税し、公に売春宿が営業されるというのが一般である。一方「非罪化」は全ての青年の性行為に関知しないというものだ。これには金銭が介在するか否かに関わらず正常な婚約の性も含む。売春の非罪化は筋が通っており、世界のフェミニストは皆、国連文書でも売春は原則として違法にすべきではないとしている。
「掃黄」では1986年から行われており、売春婦に対して半年から2年間の労働強要を施し、買春客には5000元(8万円超:筆者)の罰金を科すというものだが、制裁されるのは全体のほんの一部だ。広東省深圳市の労働教養所を訪れたことがあるが、ここには数百人が収監されており、これは数十万、数百万に上る売春婦の1%にも満たない。売春法でこのような大規模な性サービス業に対応するのは売春行為と女性を地下に追い込むことになり、マイナス効果しかない。
性サービス従業者はいくつかのレベルに分けられる。高級エスコート嬢から最低レベルのバラックの女性まで様々だ。しかし、全体からすればやはり社会的弱者に属する。法的には彼らは違法状態にあり、取締りの対象となっている。彼女たちはアンダーグラウンド状態にあるため、犯罪被害にあっても通報できず、強盗、強姦、殺害の被害が深刻だ。
私が見た資料では数年間に700人余りの売春婦が殺害されている。北京の警察と共同調査をした人と討論したことがあるが、この年北京で起きた163件の未解決の殺人事件において37%が売春婦だった。彼女らは偽の身分証を使っており、家出して何をしているのか知られていない。失踪し、死亡しても家族は皆知らない。社会にこれほど多くの未解決事件があることはよくないことだ。
性病の蔓延抑制にも有益
非罪化、合法化は性病の蔓延抑制にも有益だ。温州市の「婦女教養所」(売春容疑で強制収容される鑑別所のような場所:筆者)での調査では、売春婦の性病率が高かった。国外の性産業従業者の性病率は5%以下だが、温州では性サービス従事者の性病率は70%、80%だった。温州「婦女教養所」の看守によると彼女たちのほぼ100%が性病に感染し、淋病、エイズなど病気のオンパレードだという。これを合法化すれば、定期的に彼女たちの身体検査が可能になり、性病感染者の仕事禁止で性病伝染を抑制できる。