2024年6月14日(金)

中国メディアは何を報じているか

2014年4月15日

 性についての学問調査は中国では楽ではない。留学から帰り、北京大学で性社会学の授業開講を申請したものの、認可されなかったが人民大学で許可された。北京大学は全国の学術面では最も開放的であるにもかかわらず、抑圧されていると感じたものだ。私を罵る人は多く、ネットに限らず、手紙や電話をよこす場合もある。しかし、私はみんなが自分の性の権利を追求し、人生の快楽を求めてほしいと思っている。

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【解説】

 広東省東莞市での売春の取締りで当局による力の入れ具合が空前の規模だったため様々な憶測を呼んでいる。同市ではアンダーグラウンドの性産業があまりにも盛んで「性の都」というありがたくない呼称までも頂戴していた。同市での性産業従事者は30万人、中国全土では2000万人に上るという話もある。中央テレビのインタビューで東莞市の袁宝成市長は同市でのピンク産業がこんなにもすごい程度だとは思わなかったと回答しているが、市長ともあろう人が市内で大手を振って行われてきたことを意外だと言っているのはにわかに信じがたい。

 道徳を強調し、国民の政治思想統制が行われる中国でもちろん売春・買春は違法であるものの、これまでピンク産業の取締りは警察が行うと同時に党の宣伝部がイニシアチブを発揮してきた。「掃黄打非」(「全国掃黄打非弁公室」という省庁横断のタスクフォース事務局も設けられている)と呼ばれ、海賊ビデオ(成人ビデオも)の取締りも併せた形で対処されてきた。

習近平政権下における合法化の可能性は低い

 ところが今回東莞市での取締りはこれまでとは若干異なり、徹底的だったため、多くの人々を震撼させた。もっとも一番震撼したのは当の政府幹部だったようだ。警察などの治安担当の官吏たちは目こぼしをすることで袖の下を受け取っていたことからこうした汚職幹部の一掃が目的だったとされる。袖の下から得た資金を賄賂に使って出世するのは腐敗した国民党を倒して政権を取った「清廉潔白な共産党」にとってあってはならないことなのだ。その点で李教授のピンク産業合法化の主張はそこに巣づく既得権益を打破する効果はあろう。

 取締りを通じた警察系統人事の一新という見方もある。警察人事を握り、権力を謳歌してきた周永康が身柄を拘束されたとされるが、今回の取締りと関連があるとも噂される。このように取締りには政権内で様々な思惑が錯綜しているようだが、女性の人権、権利面からのピンク産業合法化の主張は時代を反映したものだともいえる。

 とはいえ愛国、勤労、という道徳を前面に出した「社会主義核心的価値観」をスローガンに掲げる習近平政権においてピンク産業の合法化が進められる可能性は低く、李教授の主張が中国社会に受け入れられるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。


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