2025年12月5日(金)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年5月27日

 韓国政府が防衛産業を「K防産」と称して、新たな輸出産業とするため積極的に支援していることは周知のとおりで、KF-21も自国での運用のみならず、輸出を前提に開発されている。4月16日付国防日報はアラブ首長国連邦(UAE)が「KF-21包括的協力に関する議定書」を締結したことを報じた。また、韓国のFA-50軽攻撃機を調達したポーランドとフィリピンに加え、韓国製地帯空ミサイル「天弓-2」を調達したサウジアラビア、空軍の近代化を進めるペルーなどが、KF-21の調達に関心を示している。

K防産最大のお得意様ポーランド

 23日のヘッドラインに登場する「天橆(テンム)」とは13年に開発された239ミリ多連装ロケット砲のことで、自走する車両から複数の異なるロケット弾を発射できる。また、天橆とは天を覆い尽くすという意味だ。韓国陸軍のほかUAEが12両、ポーランドが288両(調達予定を含む)を導入している。

 記事は、5月15日から30日までポーランド軍を対象にカスタマイズされた教育プログラムを行っていることを伝えた。教育は英語で行われ、製造元や整備部隊の見学、操作教育・実習で構成される。

 ポーランド軍の少佐は「ポーランドで強力な火力と速い機動力を体感した天橆の教育を韓国で受けることは重要だ。自動化された射撃システムと運用者の熟練した姿から、天橆の優れた能力と韓国軍の優秀な教育訓練システムを理解した」と絶賛している。陸軍は天橆の教育プログラム以外に、7月と10月にK9自走砲、K2戦車の国際教育コースを追加開設する予定だという。

 韓国では兵器の輸出先を「防衛産業協力国」と称しているが、最大のお得意様はポーランドだ。ポーランドはロシアによるウクライナ侵攻を受けて防衛力強化を急速に進めており、その一環として韓国から多くの兵器を調達している。主要なものとして、K2戦車(1000両)、K9自走砲(ライセンス生産を含め600門)、FA-50軽戦闘機(48機)が挙げられ、特にK2戦車の調達はアジア製戦車が欧州で初めて主力戦車に採用されたとして、世界中で話題になった。

 22年以降の韓国からポーランドへの兵器輸出額の詳細は明らかにされていないが、総額で2兆円を超えるとみられる。日本の防衛省の25年度予算が8兆5000億円で、そのうち車両・艦船・航空機の調達額は1兆1446億円であるため、韓国からポーランドへの兵器輸出がいかに大規模なものかわかる。韓国防衛産業の迅速な供給体制、性能とコストのバランス、北大西洋条約機構(NATO)との相互運用性などが評価された結果と言えるだろう。

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