(6)サイバーセキュリティは捜索・対応から予防へと変革
2030年までに現在のサイバーセキュリティにおけるITセキュリティ費用の5割以上が予防的措置を取るものに変わる見込み。これは生成AIの普及により、犯罪側もより高度化するため、現在の犯罪が起きてからそれに対応するという方法では十分ではなくなるためだ。
これに対抗するためにはAIによるサイバー攻撃のパターン認識、脅威予測インテリジェンス、自動防衛システム、脅威のシミュレーションなどが必要となる。生成AIを用いたサイバー犯罪に対抗する唯一の手段が、同じく生成AIを使った予防的措置となり、その市場は今後大きく成長する可能性がある。
(7)データの未来は汎用
(4)でも触れたが、データ収集の方法が汎用センサーになるだけではなく、データそのものも、汎用データがリアルデータを凌ぐことになる。2030年にはビジネスデシジョンを行う元になるデータに占める汎用データの割合が5割を超えると予想される。
汎用データの利点はばらつきやノイズがないこと、実際のデータにより得られる結果を拡張する形で、より信頼のおける結果を導き出すことができること。ただし汎用データを販売する企業は、今後うなぎ登りに増える可能性がある。その中で自分のビジネスにとって正しい選択をする必要がある。これまでのブランドイメージなど、正しい指標から自社に合った企業を選ぶ必要がある。同時に汎用データの分析は今後需要の高まる分野になる。
(8)生成AIに必要なのはLLMではなくDSLM
AIの導入で常に注目されるLLM(大規模言語モデル)だが、今後注目が集まるのはDSLM(Domain Specific Language Model)。2030年までに生成AIソリューションの9割はDSLMを採用するようになる見込み。
その理由として、LLMは一般的なソリューションを提供するが、個別のニーズに応えるものではない。クオリティ、スケールを重視するとより専門的なDSLMが好ましいものとなる。今後はDSLMがAIエコシステム全体の中で効率、コストの面でLLMと競合するものになるだろう。
(9)生成AIはダイナミックかつ構成可能なアプリを生み出す
2029年までに、企業の5割以上で従来のビジネスアプリケーションを省く生成AIによる言語モデルでのビジネスプロセスが採用されるようになる。従来のビジネスアプリケーションは構成的生成AIソリューションの一部として組み込まれることになる。ITシステム全体を通してのダイナミックなインターオペラビリティが求められるようになるだろう。これらはローコードもしくはノーコードでアプリを構築できるものとなる。
これを実現するには新しいUXデザインツールと方法論が必要となる。これは企業の活動にとって大きな変化をもたらすことになるだろう。ソフトウェアプログラマーといった職業が不要となり、生成AIによるノーコードアプリ製作が主流となり、ワークフローの見直しも必要となる。
(10)新しいインフォメーションセキュリティにおけるディスインフォメーションの脅威
2030年にはディスインフォメーションがビジネスにおける大きな脅威として浮上する。ディスインフォメーションにはフェイクニュースなども含まれるが、生成AIにより本物と見分けのつかないディスインフォメーションが出回る可能性がある。
こうしたディスインフォメーションは企業活動にとってハイリスクとなりかねない。また攻撃の方法そのものも洗練されつつある。これと戦うためには、こうした偽の情報源を特定するツールを持ち、真実と虚偽を鮮明な形で社会に証明することが必要となる。
