無人ヘリで画像解析
生産コスト3分の1へ
筆者は、新潟県や福島県などの水田を試験場として、研究機関や測量系ベンチャー企業、知人の農家らと新しいコメづくりに挑戦します。カギになるのが、GPS機能を搭載し、水田の位置情報をインプットした遠隔操作の無人ヘリです。
田植えは行わず、無人ヘリで種を直まきします。苗代(苗を育てる苗床)も作る必要はないため、コスト削減につながります。また、稲の生育状況も、ヘリに搭載した各種カメラから画像を解析し、観察します。例えば、稲の葉の色が濃く映る部分は窒素が多く、病気が発生しやすい状態といえます。そのため、農薬は闇雲に散布するのではなく、こうした変化が確認できた箇所にピンポイントでヘリから投入すればいいのです。稲の背丈や茎数も細かく観察できますので、市場ニーズに合わせて収量を増やすために、いつどのぐらいの肥料を撒くべきか判断できます。
さらに、収穫後のコメの流通には、国際標準の仕組みを導入します。国際市場ではモミ米の状態でトレードされているため、モミ米の貯蔵施設を保有した国際標準のカントリーエレベーターを建設し、そこに保管する計画です。
最後に、気になるコスト削減の効果ですが、こうした最先端技術を使った効率的な生産方法に多収品種栽培も組み合わせることで、60キロ当たりの生産コストを、従来の1万6000円から3分の1の5000円に抑えられる見通しです。将来的に外食チェーンや給食事業者への営業を本格化させるほか、スーパーマーケットなど小売店での販売価格は5キロ当たり1000円以下を目指します。
新しいコメづくりは、若年層には魅力的に映るはずです。日本の農業が、価格面でも人材面でも国際市場と隔離したまま、さらなるガラパゴス化の道を進むのか。大きな変革と挑戦が求められます。
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。