呆れるほど抜けのなかったコロナ時のマスク対応
コロナ時のマスク欠品はすごかった。世界的なパンデミックということもあるが、世界の工場と言い張ってきた中国政府が、海外との生産契約より自国を優先させたからでもある。
この時名をあげたのはシャープ。1ラインながら、1カ月で生産に持って行った手際はすごかった。液晶パネル工場の使っていないクリーンルームを使い実現させた。だが、1ラインで終わり。話題にはなったが、国民が安心できるレベルには遠かった。
それから遅れること3カ月。それまで中国生産だったマスクの国内生産を決めたアイリスは、国内生産を始める。角田工場に新しくクリーンルームを入れての生産だ。凄かったのは、国内原反(不織布)の確保。3カ月で生産にこぎつけたということは、原反確保は国内生産を決めた瞬間には行わなければならない。シャープも速いがアイリスも速い。
しかも、コロナマスクは空気清浄機に使われるHEPAフィルター並の性能を持つ。それを利用して、彼らは紙パック スティック型掃除機 の紙パックとしても使っている。笑えるほど、抜け目がない。
水、お茶 事業への参入
ホームセンターは、日持ちのしないものは扱わない。それでも、災害サポートビジネスのためにホームセンターにとっては、今まで置かれなかったモノを置くことはありだ。
またアイリスも変わってきている。アイリスは家電も販売しているが、売上高は、ECサイト(アイリスプラザ)、ホームセンター、量販店の順。普通の家電メーカーとはかなり異なる。マスクは定番でコンビニ、ドラッグストアーにも置いてある。アイリスは販売ルートを着実に増やしている。災害に対応するなら、水、お茶も必要。
人は水がないと何もできない。というより、水を定期的に摂取しないと死んでしまう。お茶は、心身を癒すことができ、カテキンの殺菌効果も期待できる、身近なスーパードリンクだ。
コーヒーも殺菌効果はあるが、砂糖を入れたり、ミルクを入れたりする。砂糖はまだしも、ミルクを入れると品質は安定しない。そう言う意味では、水筒に詰めて持ち歩くなら、コーヒーよりお茶の方が汎用性がある。
水、お茶共に、重いのはご承知の通り。運送は軽すぎるの逆。こちらも考え抜かれている。また、アイリスの品質は、どれもそれなりの水準に達している。
前向きな企業体質
ジャパン・ソリューションという言い方は、私が勤めている間、「株式会社」ではとんと聞かなかった。したいと思っても、会社は、資金を出してくれる「株主のモノ」という人が出てくるからだ。上司からは、とにかく儲けない事業は価値がないとまで言われた。
だが、アイリスは違う。まず上場していない。会社は大山氏のものだ。価格など、重要事項を決めているのは彼だ。では、大山氏がいるから、今の様になったのかというと、それだけでないと思う。
同じするなら、全員がトップを取りたいと思っていること。そして、それを支えているのは、「人の役に立つ」という意識ではないかと思う。
広報に聞いた話であるが、震災時、彼らの運営するダイシンに、物資を求めて人が集まったという。いろいろなシステムがダウンしており、商品販売ができる状態ではなかった。店長はノートを出し、お代は後払いでいいので、サインして持って行ってくださいと、言ったそうだ。
江戸の明暦の大火の時似た話がある。罪人切り放しを行い、全員戻ってくる話だ。日本人はお天道様に顔向けできないこと、人の道に反することを嫌うことが強い。ジャパン・ソリューションは人のためになる。ここで踏ん張れば、皆んなが笑顔になれるとすれば、全力も出せよう。方法に王道はない。アイリスの場合、結果オーライのとこもあるかと思う。
しかし、売り上げ実績を見ると、素晴らしいとしか言えない。そしてアイリスは日本で類をみない会社になった。これはすごいことだ。
先代からの事業を伸ばしている息子社長
2018年から社長が替わり、息子が社長。前社長は会長職になった。アイリスが若々しいのは、社長が若いからかもしれない。コロナ時のマスク対応は、鮮やかなものであり、先代から引き継いだ事業も好調だ。
ただ、これで終わりではない。家電でも、4大家電「エアコン」「冷蔵庫」「洗濯機」「テレビ」で、日本メーカーが強いところが全部残っている。また、米どころとはいうものの、炊飯器のシェアは低い。また、災害時のサポート契約は、災害が起こるまで、最終的な実証、信頼関係は築けない。
社員は若手も多いし、皆、頑張っている。そのパワーで、日本をもっと面白く、良くして欲しいと思う。
