2025年12月5日(金)

経済の常識 VS 政策の非常識

2025年7月14日

 れいわ新撰組は、「外国人の包括的な権利を規定する法律を制定」「外国からの低賃金労働力導入が目的の「移民政策」に反対」である。したがって、外国人の労働者としての権利を阻害する技能実習法にも反対である。

 参政党は「行き過ぎた外国人受け入れに反対。不動産購入に厳格な制限を設ける」である。

 社民党は、「移民、難民を排除するのではなく多文化共生の社会目指す」である。

 (各党公約、「【政策ジャンル別】参院選 主要各党の公約・政策まとめ」日テレNEWS、「外国人問題 参院選 政策を問う」産経新聞、「参院選 各党が在留外国人に関する政策打ち出す」NHKなどによる)。

移民抑制と多文化共生

 どちらかと言えば移民の受け入れに賛同は、多文化共生社会を謳う立憲民主党、社民党であり、どちらかと言えば反対は維新の会、日本保守党、参政党である。

 他の党は微妙であるが、国民民主党、共産党、れいわ新撰組は、外国人労働者に、日本人の労働者と同等の権利を与えることでは共通している。筆者は、これは当たり前のことだと思うのだが、自民党や立憲民主党のような大政党がこれを主張しないのは残念である。

 外国人労働者を受け入れるかどうかで議論があるのは当然だが、受け入れた以上、日本の労働者と同等の権利を認めないのは、明白な差別である。差別は、少なくとも法の支配を標榜する国では許されない。

 れいわは、さらに、「外国からの低賃金労働力導入に反対」である。この明確さは心地よいと思う。多数の外国人が来れば、通常の日本人の賃金は下がる。

 企業は、労働者と機械を組み合わせて様々なモノを作る(モノにはサービスの提供も含まれているが、面倒なのでモノとだけ書いておく)。機械と労働の組み合わせは一定ではなく、人手不足で賃金が上がっているなら機械で対応しようとするし、人が余って賃金が上がらないなら人手に頼ろうとする。

 外国からいくらでも人が来るなら、企業は賃金を上げずに、機械化を進める必要がなくなる。逆に、海外から資本が入って工場を作れば、人手を集めるために現行よりも高い賃金を払う。熊本の半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の工場が良い例である。

 要するに、海外から労働者が入ってくれば賃金が下がり、資本が入ってくれば賃金が上がる。人手不足でも賃金を上げたくない企業は外国人労働者の流入に賛成だろう。それに反対するれいわは、労働者の立場を貫いている。


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