2025年12月5日(金)

経済の常識 VS 政策の非常識

2025年7月14日

 経営・管理ビザもこの観点から考えるべきだ。このビザは、資本金500万円以上、あるいは常勤の従業員(日本人または永住者)を2人以上雇用などで取得できるというものだ。500万円ではあまりに低すぎて、資本を増やして賃金を上げる効果がないだろう。

 自民党と公明党が大企業、中小企業、自営業者の党であるとすれば、それに対抗する立憲は労働者の党であるべきだと筆者は思うが、野党第1党の立憲はそうは考えていないらしい。ここに多数の野党が、外国人労働者問題を訴えて支持を得る余地が生まれる。

低賃金労働者の流入が問題

 外国人労働者が日本に来ていることが選挙の大きな争点になっているのは、外国からの低賃金労働者が来ているからだろう。わがままな金持ち観光客に迷惑しているという声も聞くが、基本的に金持ち喧嘩せずである。

 わがままな金持ちには、高級なサービスを提供して、わがままに応じて料金を取ればよいだけだ。観光行政や観光ビジネスにお金をとる工夫が足りないだけではないだろうか。

 外国からの低賃金労働者が、日本の労働者保護法制から見捨てられ、同国人同士で集まれば、日本の生活にも溶け込めず、トラブルの元となるだろう。だから、多文化共生社会を目指すという意見があるのだろうが、筆者としては、郷に入っては郷に従え、ローマではローマ人のようにふるまって欲しい。

 ふるまえない外国人を呼んで利益を得ているのは雇っている企業である。多文化共生ではなく、日本文化に共生して欲しい。それは、日本独特の面倒な文化を教えようというのではなく、列に並びましょうとか、ごみの出し方を守りましょうとか、大勢で集まって騒がないという程度のことである。

 まず、外国人労働者に日本人労働者と同等の権利を与える、外国人を雇っている企業には、外国人の日本文化生活習慣理解のための費用を負担させることである。これで外国人労働者のコストが上がって、人数が抑制される。もちろん、他にも、外国人の土地購入とか運転免許証の切り替えとか、様々な見直しが必要だろうが、まずは、得している企業に費用を払ってもらうことだ。

 多文化共生とは、自国の文化を当たり前と思っている日本人が、自ら自覚して他の文化を取り入れることだ。それを日本は何度もやってきた。明治維新では、身分差別はダメだと自ら認識して士農工商の制度を止めた。女子教育も必要だと考え出した。女性の社会進出も進んだ。

 外国人の方から、敬語がうまく使えないけど、会社に貢献していることを評価してもらっていると聞いた。敬語を使える部下と仕事のできる部下のどちらを評価するかも、多文化共生の一つである。ボスは、ため口をきかれても業績を選んだらしい。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る