既にトルコは北部シリアの一部を支配しており、経済的、政治的な影響力をシリア全土に広げようとしている。他方、イスラエルは、シリアの新たな支配者達がイスラム過激派のルーツがある事から疑いの目で見ており、シリアに対する空爆を激化させ、シリア国内のクルド勢力とドゥルーズ勢力の自治を支援すると広言している。
トランプ大統領はネタニヤフ首相とエルドアン大統領の二人との良好な関係を有しているのを利用して、この衝突を鎮静化させなければならない。米国は何十年にもわたり、トルコとイスラエルを中東地域の安定の柱となるかけがえのない同盟国として遇してきた。
今や、その安定の柱同士が直接お互いに圧迫しあっている。イランの弱体化に伴い、米国とその同盟国は、中東の次なる試練が、この米国にとって近い同盟国間の敵対関係であると理解しなければならない。
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対立のイデオロギー的側面
トランプ大統領がイランの核施設を攻撃し、その後、イスラエルとイランの停戦を劇的に宣言したことで、国際社会の中東情勢への関心は、イスラエルとイランの衝突からガザの停戦問題に移っている。しかし、イスラエルのイラン攻撃はこれで終わらず、イランの核開発はユダヤ国家に対する脅威と認識するイスラエルは、制空権を握っているこの機会にイランの核の脅威を除去するまで攻撃を続けるだろう。
イスラエルの攻撃再開は、早ければこの秋の前ではないかとみられる。現在、イスラエルが攻撃の手を止めているのは、主にイランの弾道ミサイル攻撃によりかなりの対弾道ミサイルを消費し、その再生産をしているのではないかと想像される。
上記の論説は、イスラエル・イランの衝突よりもイスラエルとトルコの勢力争いがより危険であるとしている。イスラエルとトルコの地政学的確執は、将来、中東の深刻な問題となろう。
