イランへの攻撃を否定?
時期が悪すぎたメッセージ
彼女は当初、議会証言ではイランの核開発は「差し迫っていない」とする穏健な評価を示していたが、この動画では先述したように「核による絶滅の瀬戸際にある」という彼女個人の強い見解を訴え、政権の外交・安全保障の一貫したメッセージとは異なると非難された。
彼女の投稿は、イスラエルの強硬派がホワイトハウスでトランプ大統領と面会し、イスラエルによるイラン攻撃を支持するようロビー活動を行った数日後に行われた。トランプ大統領とその側近たちにとって、ギャバードはイスラエルによるイラン攻撃を承認しないよう警告しているように見えたのである。
トランプの側近の一人は「トランプがトゥルシーという人間を嫌っているとは思わない。だが、あの動画のせいで、トランプは彼女にそれほど興味がなくなったのは確かだ。
そして、トランプは、閣僚が公式見解から逸れるのを異常に嫌う」と指摘する。さらに、「トランプは、人が自分の考えを訂正しようとしているように見えることを快く思っておらず、多くの人がその動画を政権の立場を訂正しようとしていると受け止めた」と話す。
ギャバードは、この物議を醸すビデオを投稿して以来、イランとイスラエルの間で進行中の戦争における選択肢についてのトランプ政権の戦略会議から外されている。ギャバードのメッセージがたとえ政権に対してイラン攻撃の考えを変えてほしいという意図が全くなかったとしても、タイミングが悪すぎた。
彼女は、基本的には軍備拡張には反対で、その姿勢は同盟国に対しても変わらない。かつて、防衛費増額などを決めた日本の安全保障政策に警戒感を示したこともある。
東アジアの安全保障を鑑み、日本政府は彼女に対して、「抑止力」を高めることの重要性を説きつつ、トランプに広島や長崎を訪れることを促してもらうように主張していくべきである。彼女はトランプ政権の「主流派」ではないかもしれないが、強いパイプを築いておくことは重要だ。
