2025年12月5日(金)

トランプ2.0

2025年7月25日

 関税パワーを振り回し世界を揺さぶり続ける米国のトランプ大統領。その“異形ぶり”は、環境問題でも際立っている。しかし今や、世界の常識となっている地球温暖化を否定し、気候変動関連の災害対策・予報体制を軽視してきた同政権の姿勢が批判の矢面に立たされ始めている。

テキサス州で突発的な洪水が地域を襲った(AP/アフロ)

テキサス大洪水被害の背景

 米国最大の祝日として知られる「独立記念日」の去る7月4日、南部テキサスが集中豪雨による大洪水に見舞われ、少なくとも地域住民134人が死亡、100人以上が行方不明となる惨事となった。

 米マスコミでは、大規模災害などに対応する「連邦緊急事態管理庁」(FEMA)や豪雨、ハリケーンなどの襲来を予知し警報を出す「国立気象局」(NWS)に落ち度がなかったかどうかについて、批判報道が相次いだ。

 その背景として、トランプ政権が去る1月発足以来、環境行政全般について大ナタを振るい始め、去る5月には、FEMAを統括する「国土安全保障省」のクリスティ・ノーム長官が、FEMAの上級幹部19人、スタッフ数百人を解雇するとともに、大統領の意を受け「FEMAは組織としても解体する必要がある」と発言していたことなどがある。同時に、「国家気象庁」についても幹部数十人が退職を余儀なくされていた。

 「The Atlantic」誌報道によると、気象庁の地方観測所によっては、本庁指示により人員削減を余儀なくされ、24時間予知・監視体制を止めたところもいくつかある。また、「国立ハリケーン・センター」も、ハリケーン、豪雨などの迅速な予報を出すのに不可欠な国防総省気象衛星画像へのアクセスを断ち切られていたという。

 このため、米議会ではチャック・シューマー民主党上院院内総務が緊急記者会見を開き「気象庁の職員カットなどが今回の惨事の事前予知の遅れを招かなかったかについて、徹底的に究明する必要がある」として、調査に乗り出すことを明らかにした。

 この点に関連して、ニューヨーク・タイムズ紙は、現地を流れるグアダル川に洪水の警報システムが設置されていなかった点を問題視し、「同州カー郡の災害課が以前に水位上昇の警報システム導入のための資金援助をFEMAに申請したが、却下されていた」とした上、「FEMA捜索援助チームの出動の遅れも大災害につながったとの指摘もある」と報じた。


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