ユダヤ国家拡大への「ガザ再建開発計画」
ネタニヤフ首相の真の狙いは何なのか。首相は否定しているものの、「最終ゴールは民族浄化とジェノサイド(大量虐殺)だ」(ベイルート筋)。
確かに首相は停戦交渉がまとまりかけると、その都度ぶち壊してきた。9月に入り、「人質全員の解放とイスラエル軍のガザ撤退」を柱とする米国提案で合意が近づいたが、首相は交渉仲介役のカタールを攻撃、今や交渉の先行きは全く不透明になった。
首相のこうした言動には「戦争継続こそが政権存続のカギ」(ベイルート筋)という思惑があり、その背景には「パレスチナ人を抹殺してユダヤ国家を拡大するとの歪んだ信念がある」(同)。その一端は戦後の「ガザ再建開発計画」からもうかがい知ることができる。
米ワシントン・ポストによると、イスラエルと米国は戦後のガザ統治計画を協議中だという。内容はガザを10年間、米国の「信託統治」にし、この間にツーリズムとハイテクの拠点として開発する計画。米国のトランプ大統領がこの2月、「ガザを中東のリビエラに」とする米国所有案をぶち上げたが、計画はこの構想を具体化するものだ。
計画ではガザの住民は他国に移住するよう促され、退去する者には1人5000ドルの供与、退去先の家賃4年分補助、1年間の食料援助――といった支援が行われる。これにより当初はガザの人口の4分の1が移住すると見込んでいる。「信託統治」が終わった後はハマスを排除した穏健な「パレスチナ人政体」が統治を引き継ぐことになる。
ホワイトハウスでは8月末、トランプ大統領の下、ルビオ国務長官、ウィトコフ中東特使、クシュナー前上級顧問、ブレア元英首相が集まり、ガザの開発や統治について会議を開催した。ブレア氏は「ガザの住民は次のドバイになることを夢に見て新しい指導部を求めている」などと話したという。
