2023年1月28日(土)

田部康喜のTV読本

2014年6月4日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 原作について記述したことは、日本を代表するシャーロキアン(シャーロック・ホームズ研究家)である、小林司・東山あかね訳のシリーズ(河出書房新社)に拠っている。

 原作のホームズの帰還はこうだ。ワトソンは通りで、古書店を経営していると思われる本を抱えた老人とぶつかる。その老人はワトソンのオフィスを訪れて、空いている本棚を埋める本をもってきて買うことを勧めるのだった。

「ここには『英国の鳥類』に『カタラス詩集』それに『神聖戦争』もっています――どれも掘り出し物です。あと5冊あれば、本棚のあの二段目が埋まりますな。あれじゃ、さまにならんでしょう」

わたし(ワトソン)が振り向いて、後の書架を見て、もう一回向き直ると、なんとシャーロック・ホームズが、書斎机越しに私に笑いかけているではないか。わたしはびっくり仰天して、しばらく彼を見つめた。

友情の濃さを強く印象づける現代版

 「シャーロック 3」は、テンポの良い音楽とともに、ホームズがレストランに現われる。

 ワトソンが恋人のメアリーを待っている。婚約指輪をながめている。プロポーズをする場面を予想させる。

 ホームズは、ウエーターのふりをして、客の蝶ネクタイと眼鏡をとり、女性客の小物入れから眉墨をとって口髭をかく。ワトソンにシャンペンの銘柄を勧めながら、「これは旧友との再会を意味します。飲んでいただければ驚かれますよ」

 ホームズが正体を現す。「手短にいうと死んでいない。いや、びっくりさせて。おもしろかったから許されるだろ」

 ワトソンは原作のようにはいかない。「2年もだぞ。どんなにつらかったことか」

 プロポーズのシーンは裏切られて、ワトソンとメアリー、ホームズはパブに場所を移して話し合う。ワトソンはホームズにつかみかかる。

 現代版は原作からちょっと筋が逸脱しているようでいて、ホームズとワトソンの友情の濃さを強く印象づける。


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