2025年12月12日(金)

令和の京都地図

2025年11月22日

 中小企業を中心に、後継者問題は日本経済の大きな課題だ。歴史都市京都では言うまでもなく、数百年の伝統を継承する企業も含め、次代へ商いをどうつなげるかは深刻なテーマである。そんな中、あらゆる後継者たちに寄り添い、伴走支援やコミュニティーづくりをする団体が京都から発足した。

滋賀でもアトツギラボを立ち上げた小野寺さんは、活動を全国に広げるのが目標だ(写真・坂井保夫)

 一般社団法人応縁堂の代表を務める小野寺亮太さん(35歳)は、現役京都市職員。アトツギラボという小さな活動から始まった組織を、今年法人化した。「きっかけは、2021年に市と地元金融機関が共同で始めたプロジェクトです。当時はコロナ禍の真っ只中。家業を継がずに役所に就職した私が、継いでいる人の力になれることはないかと思い、プロジェクトに参加しました」と話す。

 小野寺さんの実家は、滋賀県大津市にある三井寺門前の和食レストラン。大学3年の時、公務員を志望しながらも、約60年続く家業を継ぐべきか父親に尋ねた。「公務員になってもいいが、いわゆる公務員にはなるな」。役所内だけでなく、外に目を向けよ、という父の言葉が、ずっと小野寺さんの心にあり、市のプロジェクトに積極的に関わった。「中学から同志社だったので、地元で家業を継ぐ友人が多かったんです。声をかけ、まずイベントを開催しました」。なぜ後を継いだか、これからどうしたいか、いま何に困っているか。後継者の悩みを聞いて、先輩経営者が助言するイベントだ。

 「驚いたのは、後継ぎたちが非常にポジティブだったこと。今際の祖父に突然頼まれたとか、継いだきっかけはシンプルだったのに、未来にこんなことがしたいとワクワクしていた。私は継がなかったから感激しましたね」


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