2025年12月14日(日)

トランプ2.0

2025年11月25日

爆弾を抱えたトランプ

 第3にMAGAと関係があるのだが、トランプと親交があり、性犯罪で有罪となったエプスタインについての文書、いわゆる「エプスタインファイル」の公開とその影響に関わる懸念である。

 トランプは2024年米大統領選挙において、同ファイルの公開を約束した。公開しなければ、MAGAはトランプ政権を、情報を隠蔽し、コントロールしている「闇の政府(deep state)」と捉える可能性がある。周知の通り、トランプは2016年米大統領選挙に出馬した際、政府の中に闇の政府が存在するというストーリー(物語り)を展開し、勝利を手にした。

 これまでエプスタインファイルの公開に消極的であったトランプは11月19日、身内の共和党議員やMAGAの公開を要求する声に押され、連邦議会上下両院を通過した公開法案に著名した。エコノミストとユーガブの全国共同世論調査では、2024年米大統領選挙でトランプに投票した有権者の75%が、エプスタインファイルの全面公開を求めた。

 しかし、トランプはこの数日間は、ダメージコントロールとして、エプスタインとビル・クリントン元大統領やラリー・サマーズ元財務長官など民主党系の人々と結び付けている。

 公開された内容が秘密改ざんを受けているかどうかを含めて、なおも火種を抱えていることもあって、これも大きな懸念材料になり得る。

 この一連の動きの中で、一言言及しておけば、MAGAの象徴的な存在で、トランプに次ぐ集金力を持つマージョリー・テーラー・グリーン下院議員(共和党 南部ジョージア州第14選挙区)が、エプスタインファイル公開に賛成を示してトランプと対峙したことである。来年の中間選挙に向けて、MAGAは果たして分断するのか注目したい。

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