2025年12月6日(土)

BBC News

2025年12月3日

ウクライナ東部ドネツク州ではもう、列車は運行されていない。これは、ロシア軍が着実に前進していることを示している。ドネツク州は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がロシアの領土だと主張する東部ドンバス地方に含まれる。

東部へ向かう列車の終着地点は現在、ドネツク州境の西側にある。東部からの民間人や兵士はここで、比較的安全な場所へと続く列車の到着を待っている。まさに、危険な場所から脱出するための列車だ。

ジョナサン・ビールBBC防衛担当編集委員は、この終着地点で、ウクライナ兵のアンドリーさんと恋人のポリャーナさんに出会った。2人はほんのわずかな再会の時間を過ごしていた。

アメリカ主導の和平交渉について尋ねると、アンドリーさんは笑い飛ばすように答えた。「ただのおしゃべりに過ぎない」と。

和平をめぐっては2日、ロシア大統領府でウラジーミル・プーチン大統領やユーリ・ウシャコフ大統領補佐官(外交担当)らと、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ特使らが協議した。しかし、この戦争がすぐに終わるとは思わないと、アンドリーさんは述べた。

戦闘から一時的に離れるために西へと向かう列車へ乗るほかの兵士たちの間にも、懐疑的な見方が広がっている。

2年間従軍してきたというある兵士は、「みんな疲れ果てている。精神的にも肉体的にも疲弊している」と語った。

戦地ではドローンが「ハエのように」飛び回り、「本当に怖い」とも、この兵士は話した。それでも、多くの犠牲を払ってきた以上、諦めるつもりはないとはっきり述べた。「誰も、プーチンにドンバス地方を渡すつもりはない。ありえない。ここは我々の領土だ」。

ウクライナでの戦争終結を目指すアメリカによる和平案の内容が明らかになって以来、プーチン氏は強硬姿勢を強めている。アメリカ案はプーチン氏の最大限の要求に沿ったものだと広く受け止められている。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は1日、アメリカ主導の和平交渉において、「領土問題が最も難しい」と述べた。

ロシア軍は現在、ルハンスク州とドネツク州で構成されるドンバス地方の約85%を支配下に置いている。同軍は2日、ドネツク州の戦略的要衝ポクロフスクを制圧したと主張した。ウクライナ側は、ポクロフスクでは戦闘が続いているとしている。

ドンバス地方からはすでに、大勢の民間人が逃れている。和平に向けた協議が進められている間も、避難は続いている。

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/crl9dl8296po


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