2025年12月6日(土)

BBC News

2025年12月3日

ジェニファー・マキアナン政治記者、ニック・アードリー政治担当編集委員

イギリス政府は2日、同国がパレスチナ・ガザ地区に送った1100張以上のテントが、現地に到着するまでに1年以上かかったとして、援助物資搬入の遅れを批判した。

イヴェット・クーパー外相はまた、ガザのイスラム組織ハマスとイスラエルの間で停戦が発効し続けているにもかかわらず、イギリスが資金を拠出したその他の援助物資が住民に届いていないことへの懸念も示した。

イスラエル政府は、援助物資の搬入に関する合意を順守しているとし、直近の数カ月間で「約25万張のテントと防水シートの輸送を促進した」と説明した。

イギリスが資金を拠出したテントは、1張で5人を収容できるもので、1日にガザに到着した。今週中にさらに到着する見込みだ。

英政府関係者は、これらのテントが冬の間に最大1万2000人にとってのシェルターになると述べた。

「この状況が続くことは許されない」

クーパー氏はガザの状況について、冬を前に雨が悪化し気温が急激に低下しおり、「悲惨なままだ」と述べた。国連は、150万人が緊急のシェルターを必要としていると警告している。

クーパー外相はまた、ガザへの援助物資搬入の遅れをこれ以上許すことはできないとし、ガザに入るすべての検問所を開放し、人道支援の完全なアクセスを認めるべきだと語った。

「ガザの状況は依然として悲惨であり、悪化する天候が、損傷したインフラと2年以上にわたる紛争によって引き起こされた重大な問題をさらに悪化させている」と、クーパー氏は述べた。

「親たちは壊れた屋根や吹きさらしの下で子どもを守ろうとしてきた」

「これらのテントは、シェルターを必要とする数千人に命綱を提供し、がれきを泥に変える冷たい風と絶え間ない雨から、人々を守ることになる」

国連によると、ガザでは人口のほぼ90%に当たる約190万人が、2023年10月にイスラエルとハマスの紛争が始まって以来、避難を余儀なくされている。

クーパー氏はテントの到着について、「より多くの支援アクセスを求める国際社会による、数カ月にわたる継続的な取り組みを示すものだ」と述べた。また、今年これまでにも「またしても援助物資の輸送が国境で滞っているのを目にしていら立ちを感じた」と語った。

「この状況が続くことは許されない」

「これらのテントの到着は、援助物資が届くことでどれほど大きな影響を与えられるかを示している。私たちは、人道支援の完全なアクセス、すべての検問所の開放、和平計画の実施、そして平和への道を強く求め続けるために、できる限りのことをしていく」

国連児童基金(ユニセフ)のパレスチナ国家特別代表を務めるジョナサン・ヴィーチ氏は、さらなる支援が依然として必要だと述べた。

「ガザの状況は壊滅的であり、寒さと激しい雨が、極めて困難な状況で暮らす家族に影響を与え続けている」

「停戦が続いていても、ガザの子どもたちにとって、日常生活は依然として非常に厳しい」

「イギリスの支援で提供されたテントはすでにガザに搬入され、厳しい冬に立ち向かうために家族を助ける緊急のシェルターを提供することになる。さらに多くの支援が必要だ」

イスラエルは合意を順守と強調

ガザで人道問題を担当するイスラエルの軍事組織「イスラエル占領地政府活動調整官組織(COGAT)」は声明を発表。「数々の主張とは異なり、イスラエルは人道支援物資のトラックを合意に従って搬入する義務を完全に順守していることを強調する」と述べた。

また、「この枠組みの中で、食料、水、燃料、ガス、医薬品、医療機器、テントやシェルター用資材を積んだ数百台のトラックが毎日ガザに入っている」とした。

「これは、国連、国際機関、支援国、民間部門との緊密かつ継続的な調整の下で行われている」

COGATはさらに、過去3カ月間で「冬に向けた物資、シェルター用資材、衛生用品に関する、組織から提出された10万件のパレット申請を承認した」と付け加えた。

「これらの物資は、ガザに搬入できるよう、関係機関による即時の調整を数週間にわたり待っている」

「この調整は国際機関に依存しており、COGATは調整プロセスを円滑にすることに尽力している」

(英語記事 UK criticises Gaza aid delays as tents take year to arrive

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cx2e021p2jxo


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