2025年12月6日(土)

BBC News

2025年12月3日

ヘグセス米国防長官(中)は、カリブ海での「麻薬船」に対する2回の攻撃のうち、1回目だけ見ていたとしている

米海軍がカリブ海でヴェネズエラの麻薬運搬船だとする船に追い打ち攻撃を実施したことについて、ピート・ヘグセス米国防長官は2日、「個人的には生存者を目にしなかった」と述べた。

9月2日にあったこの事案では、1回目の攻撃で、船に乗っていた 2 人が生き延び、炎上する船にしがみついていたとされる。その後、2 回目の攻撃が命じられ、2 人は死亡したとされる。

この件をめぐり、米軍が武力紛争に関する法律に違反したのではないかとの懸念が生じている。

ホワイトハウスは2回目の攻撃について、米海軍最高幹部の一人、フランク・ブラッドリー大将が承認したとしている。

ヘグセス氏はこの日のホワイトハウスでの閣議で、問題の攻撃は混乱した「戦場の霧」の中でのことだったと説明した。

同氏は記者からの質問に答えて、1 回目の攻撃は「生」で見たが、すぐに別の会議に移動したと述べた。

そして、1回目の攻撃では、「私は個人的には生存者を目にしなかった」と主張。「あれは炎上して爆発した。(中略)何も見えなかった。これは戦場の霧と呼ばれるものだ」と述べた。

ヘグセス氏はさらに、「それから数時間たって」、ブラッドリー大将が船を撃沈するという「正しい決断」をしたと知ったと説明。「私たちは彼を支持している」と述べた。

トランプ氏もブラッドリー大将を擁護した。ただし、追い打ち攻撃については、「私たちは知らなかった」と述べ、決定には関わっていなかったとした。

同時にトランプ氏は、「だがこれは言える。私はそれらの船を撃沈してほしいと思っている」と述べた。

2 回目の攻撃については、米紙ワシントン・ポストが11月28日付の記事で最初に詳しく報じた。これを受け、民主、共和両党の議員らが懸念の声を上げている。

カリブ海および東太平洋では9月上旬以降、米軍による同様の攻撃が相次いでおり、80人以上が殺害されている。

トランプ政権は、違法薬物から米国民の生命を守るために必要な自衛措置だとして、こうした攻撃を繰り返し擁護している。

合法とは考えにくいとの見方も

トランプ氏はこの日、一連の攻撃によって海上ルートによる麻薬密輸が大幅に減少したと、証拠を示すことなく主張した。

9月2日の事案については、党派を問わず議員らが不安を表明している。連邦上院の軍事委員会は先週末、何が起きたのかを明らかにするため、調査を「精力的に監督する」とした。

攻撃当時、米軍の統合特殊作戦司令部の司令官だったブラッドリー大将は今週、議会で証言する見通し。

同大将はこの事案があった1カ月後に昇進し、現在は米特殊作戦司令部の総司令官を務めている。

戦時国際法のジュネーヴ条約は、負傷した戦闘員を意図的に攻撃することを禁じ、負傷者らは捕らえて手当てすべきだと定めている。

専門家らはBBC の取材で、報道されているような追撃が国際法上、合法とみなされるとは考えにくいとの見解を示した。

9月2日の攻撃以降、アメリカはこの地域での軍事的存在感を大幅に増している。トランプ氏は今月2日、「陸上での攻撃を開始する」と再び宣言した。

(英語記事 US defence secretary says he did not see survivors before follow-up strike on drug boat

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cy4x84zrlxgo


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