2025年12月6日(土)

BBC News

2025年12月3日

米会員制小売大手のコストコは1日、ドナルド・トランプ政権を相手にした訴訟を、米国際貿易裁判所に起こした。連邦最高裁判所が大統領には議会の承認なく関税を課す権限がないと判断した場合に、政府に支払った輸入関税の全額返還を受けるための措置。

アメリカでは現在、トランプ大統領による広範な関税措置の合憲性が争われている。トランプ氏が関税措置の根拠として挙げている1977年制定の国際緊急経済権限法(IEEPA)の適用の是非が争点となっている。

下級審2件はすでに、トランプ氏が緊急権限を用いて関税を課したことは権限を超えていると判断している。

訴訟は現在、最高裁で審理されており、複数の企業が、最高裁が関税を無効とした場合に返還を受ける権利を守ろうとしている。

小売りで世界3位のコストコは、政府への支払い金の回収が困難になる今月15日の期限を前に訴訟を起こした。貿易裁に対し、トランプ氏の「緊急」関税を違法と宣言するよう求めている。

また、関税によって事業が損害を受けたと主張。最高裁が下級審の判断を支持した場合でも、返金を受けられないのではないかとの懸念も表明した。

コストコ側の弁護士は、返金を受けるためには、関税の合憲性を問う訴訟とは「別途の訴訟が必要だ」と説明。返金は「独自の判断と司法的救済がなければ保証されない」とした。

コストコは返金を求める金額を明示していないが、米税関当局のデータによると、コストコのような輸入業者は9月下旬時点で、IEEPA関連の関税としてすでに約900億ドル(約14兆円)を支払っている。

「トランプ関税」めぐる動き

ニューヨークに拠点を置く貿易裁は5月、「トランプ関税」を違法とする初めての判断を下した。その後、米連邦控訴裁判所もこの決定を支持した。

11月に始まった最高裁での審理では、大統領に議会承認なしに課税する権限あるかについて、判事らが懐疑的な姿勢を示した。

トランプ政権の弁護士は、IEEPAが大統領に世界的な関税を課す権限を与えていると主張している。

また、不利な判決が出されれば各国との交渉能力が制限され、財務省がすでに徴収した数十億ドルを失うと警告している。

ホワイトハウスのクシュ・デサイ報道官は先に、CNBCへの声明で、「トランプ大統領の合法的な関税を維持できないことによる経済的影響は甚大であり、この訴訟はその事実を浮き彫りにしている」と主張。「ホワイトハウスは、最高裁による迅速かつ適切な解決を期待している」とした。

トランプ大統領は先月、アメリカが「関税で数兆ドルを得ている」と述べ、「(高所得者を除いた)1人当たり少なくとも2000ドルの配当が全員に支払われる」と約束した。

(英語記事 Costco sues Trump administration for 'full refund' of tariffs

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c62lv4e5plno


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