「USA」と記されたくじを引いたトランプ米大統領
サッカー男子の2026年ワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会の組み合わせ抽選会が5日、米ワシントンで行われた。日本は、オランダ、チュニジアと同じグループFに入った。国際サッカー連盟(FIFA)はこの場で、新たに創設した「FIFA平和賞」の授与式を行い、ドナルド・トランプ米大統領が受賞した。
2026年W杯は、アメリカ、カナダ、メキシコの共同開催で、6月11日~7月19日の日程で開かれる。
大会史上最多となる48チームが参加する。グループ(1次)リーグに続く決勝トーナメントは、初めて32チームで実施される。
抽選会では、アメリカのトランプ大統領、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領、カナダのマーク・カーニー首相がステージに上がり、それぞれの国のくじを引いた。これら開催3カ国は、すでにグループ分けが決まっており、象徴的な抽選だった。
その後、インタビューやパフォーマンスが続き、本番の抽選が始まったのは、抽選会の開始から1時間半近くが過ぎた午後6時27分だった。抽選にも59分をかけた。
抽選の結果、グループリーグで強国がぶつかるのはわずかとなった。
最も大きな試合は、2018年大会準決勝の顔合わせと同じ、グループLのイングランド(4位)対クロアチア(10位)だ。グループリーグでFIFAランキングのトップ10が対戦するのはこの試合のみ。
次いで強国同士の対戦となるのは、グループCのブラジル(5位)対モロッコ(11位)となった。
グループFのオランダ(7位)は、ランキングの面から最も厳しいグループに入った。日本(18位)、チュニジア(40位)、そして未決定のプレーオフ勝者と対戦する。
一方、グループEのドイツ(9位)は最も楽とみられるグループにいる。一緒になったのはエクアドル(23位)、コートジボワール(42位)、キュラソー(82位)だ。
グループIでは、プロリーグのプレミアリーグ(イギリス)とラ・リーガ(スペイン)のトップストライカー同士が、国際試合で初めて直接対決する。ノルウェー(29位)のアーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)と、フランス(3位)のキリアン・エムバペ(レアル・マドリード)だ。このグループには他に、セネガルと未決定のプレーオフ勝者が入る。
「平和賞」と批判の声
イベントでは、抽選に先立ち、「FIFA平和賞」の授与式が開かれた。
この賞は、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が創設したもので、「平和のために並外れた行動を取り」、「世界中の人々を結びつけた」人に贈るとしている。
トランプ氏の受賞は広く予想されていた。トランプ氏はここ数カ月、何度か公の場でインファンティーノ氏と一緒にいた。この日の式典にも、2人はそろって現れた。
トランプ氏には、大きな金色のトロフィーが授与された。また、インファンティーノ氏からメダルと認定証も受け取った。
スピーチしたトランプ氏は、自分が外交的に介入することで「数千万の命を救った」と主張し、「戦争を勃発直前に阻止してきた」と述べた。そして、「これはまさに私の人生における偉大な栄誉の一つだ」と語った。
続けて、2026年W杯のチケット販売が新記録を樹立したと述べ、「ジャンニは素晴らしい仕事をした。これはあなたとフットボール、私たちが言うところのサッカーへの、素晴らしい賛辞だ。みんなが可能だと思っていた数字をはるかに超えている」と話した。
さらに、「世界は今や、前より安全な場所になった。アメリカは1年前、うまくいっていなかった。だが現在、世界で最も魅力的な国になっている」と語った。
トランプ氏はその後、米英で競技の呼び方が違っていることについて、「これはフットボールだ。ここアメリカではサッカーと呼んでいるが、実際にはフットボールだ。私たちがサッカーと呼ぶのは意味がない」と冗談を言った。
BBCのダン・ローアン・スポーツ編集長は、ホワイトハウスからわずか 1.5キロメートルほどの場所で開かれた今回の抽選会には、明らかに政治的な雰囲気があったと指摘した。
また、トランプ氏への平和賞授与などをめぐっては、FIFAの政治的中立性への脅威であり、抽選会や大会そのものまでを、プロパガンダの道具に変える危険性をはらんでいるとの批判もあるとした。
(英語記事 Haaland v Mbappe, dream ties and YMCA - the best of the World Cup draw/President Trump wins inaugural Fifa Peace Prize)
