当事者双方から、相手側の落ち度が互いに主張されて、最終的には双方の落ち度が考慮された上でベンダーが責任を負う損害賠償金額の調整が図られることとなる傾向にある。これを法律上は過失相殺という。
文化シヤッターとIBMにおいては、IBMが開発手法を誤りプロジェクトマネジメント義務の違反があったとされつつも、仕様が一旦確定した後にもかかわらず文化シヤッターがその変更を求めることがあったことが指摘され、一審では15%:85%の過失相殺が行われている(二審では10%:90%に変更)。
失敗を起こさないためには
システム開発を巡る裁判例を踏まえると、月並みではあるが「最初が最も重要」ということが分かる。今回紹介した裁判例が示すように、上流工程で失敗すると後戻りができなくなり、数十億円を費やしたシステム開発が頓挫する結果となる。
上流工程において、ベンダーとしては丁寧に説明を尽くすとともに、後工程で想定外に開発工数が増大することなどによってプロジェクトが失敗するリスクを避けるようマネジメントすべきであるし、ユーザーとしても丁寧に社内の要望を取りまとめてベンダーに伝えることが重要となる。
