2025年12月8日(月)

BBC News

2025年12月8日

昨年6月の珠海航空ショーで公開された中国のJ-15戦闘機(資料写真)

シャイマ・ハリル東京特派員、ジョエル・ギント記者(シンガポール)

日本の防衛省は7日、中国の戦闘機が日本の航空機にレーダーを照射したことに抗議した。両国間の緊張が悪化する中で、新たな事案が発生した。

航空機にレーダーを照射する行為は、攻撃の可能性を示すため、脅威と見なされている。防衛省によると、この事案は6日、沖縄県の南方沖で2回発生したという。

日本は、中国の戦闘機J-15に対応するため、航空自衛隊の戦闘機F-15を発進させたと説明。一方の中国側は、日本側が訓練中の中国部隊に「嫌がらせをした」と非難した。

この事案による負傷者や損害は報告されていない。

防衛省によると、J-15戦闘機は中国海軍の空母「遼寧」から発進し、6日午後4時32分ごろに初めて日本の戦闘機にレーダーを照射した。その後、午後6時37分ごろにも再び照射した。

防衛省は、「中国側の意図は明らかではないが、捜索用であれば断続的に行われる必要はない」、「自衛隊は挑発のような評価を受ける行動はしていない」としている。

高市早苗首相は7日に石川県輪島市で記者団の取材に応じ、中国側の行動は「極めて残念だ」と批判。「中国側には強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れする」と述べた。また、「冷静かつ毅然と対応」するとも述べた。

一方、中国海軍は、日本の主張は「事実と完全に一致しない」とし、日本政府に対し、「直ちに中傷や誹謗をやめるよう」求めた。さらに、この海域での訓練は事前に発表されていたと付け加えた。

深まる溝

両国の間では、高市首相が台湾について発言した内容をめぐり、外交関係が悪化している。高市氏は11月、中国が台湾を攻撃した場合、日本は自衛隊が出動する可能性があると示唆した。

中国政府は台湾を自国の領土だとしている。中国は、武力で台湾を手に入れる可能性を否定していない。

高市氏の発言を機に両国は、互いに強硬な発言を重ね、対立の度合いを強めている。広がる溝は、両国民の日常生活にも影響を及ぼしている。

今月2日には、東シナ海の係争中の島々付近で発生した両国の海上保安当局の船舶同士のにらみあいについて、それぞれ異なる説明を展開した。

11月には、台湾に近い沖縄県与那国島沖で、中国のものとみられるドローンを探知され、空自が戦闘機を緊急発進させた。日本政府は与那国島にミサイルを配備する計画を発表しており、中国はこれに反発している。

また、緊張が高まったこの1カ月間で、中国は自国民に日本への渡航を控えるよう呼びかけている。

中国はさらに、日本産の海産物の輸入を禁止したほか、人気の日本映画の上映を取りやめた。上海などで予定されていた日本の音楽イベントなども、相次いで中止となっている。

(英語記事 Japan protests after Chinese fighter jets lock radar on Japanese planes

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c9qeng9elvno


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