2025年12月11日(木)

BBC News

2025年12月11日

国連教育科学文化機関(ユネスコ)は10日、イタリア料理に特別な文化遺産の地位を与えた。

ピザを含むイタリアの人気料理は、すでにユネスコの「無形文化遺産」に登録されているが、今回はさらに、イタリアの料理の伝統と、それが実践され伝えられる方法が認定された。

就任以来、自国の料理が認められるようはたらきかけてきたイタリアのジョルジャ・メローニ首相は、「私たちイタリア人にとって、料理は単なる食べ物やレシピ集ではない。料理はそれ以上のもの、文化であり、伝統であり、仕事であり、富だ」と述べた。

数多くのイタリア料理好きにとってこのニュースは、シチリアのカンノーリからカラブリアのンドゥイヤまで、「イタリア料理は最高だ」という自分たちの信条を裏付けるものとなった。

この決定は、インドの首都デリーで開かれたユネスコの政府間委員会で発表された。

ユネスコはイタリア料理について、「家庭や学校、あるいは祭りや式典、社交の場を通じて、家族やコミュニティーとつながる手段」だと説明した。

ユネスコはまた、エジプトの無数の屋台で提供される、レンズ豆、米、パスタを使ったスパイシーな料理「コシャリ」も、無形文化遺産のリストに追加した。

ユネスコの広報担当者はBBCに対し、他の国々でも「食文化に関連する慣習、技能、伝統、社会的慣行」が認定されていると説明。過去の例として、「日本の伝統的な食文化である和食、特に正月の祝い料理、多民族社会の食体験であるマレーシアの朝食文化、フランスの美食」などを挙げた。

ユネスコは今回、アイスランドのプール文化、キューバの音楽「ソン」と踊りの習慣、アルバニアの民族楽器「ラフタ」の演奏・歌唱・製作の技術も、無形文化遺産に加えた。

観光への後押しに期待

伊北西部ピエモンテ州在住のミケランジェロ・マモリーティ氏は、ローマを拠点とする日刊紙ラ・レプブリカの取材で、このニュースは個人的に、そして職業的にも、大きな誇りを感じさせるものだと述べた。

マモリーティ氏がシェフを務めるレストラン「ラ・レイ・ナトゥーラ」は、レストランガイド「ミシュラン」の2026年版で唯一、新たに三つ星を獲得した。

「イタリアは、地域料理が文化や伝統に非常に大きな影響を与える国の一つだ」とも、マモリーティ氏は語った。

イタリアの閣僚や産業界のリーダーらは、この動きが観光をさらに後押しすると期待している。イタリアには、すでに年間8000万人の外国人観光客が訪れている。

同国の食品産業団体「フィリエラ・イタリア」のルイジ・スコルダマーリア最高経営責任者(CEO)は、ユネスコの決定が「メイド・イン・イタリーのサプライチェーン全体にとっての成功だ」と、イタリアのANSA通信に語った。

同氏はまた、健康促進における地中海料理の役割についても言及。「地中海食を語るとき、私たちは素晴らしいイタリア料理について語っている。イタリア料理はその原則を、何よりもバランスと多様性の原則を共有している」と付け加えた。

(英語記事 Italian cooking awarded Unesco cultural heritage status

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cnv2e687j1vo


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