2025年12月21日(日)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年12月21日

 国防日報は、ペルー輸出は単なる一契約にとどまらず、中南米市場進出の「橋頭堡」としての戦略的意義を持つと指摘する。これまで欧州やアジアを主要市場としてきたが、中南米という新たな成長市場を開拓することで、グローバル展開を加速させている。

 60億ドル規模のポーランド契約に続くペルー輸出の成功は、韓国が防衛産業の世界的プレーヤーとして確固たる地位を築きつつあることを示している。

海兵隊「独立」の象徴、独自戦闘艦艇が進水

 12日のヘッドラインは、海兵隊が初めて独自の艦艇を保有したことを伝えたもの。また9日紙面には「海軍230トン級高速艇バッチ2『チャムスリ』4隻合同進水式」が掲載された。チャムスリとは大鷲を意味する。

 12月11日に進水した海兵隊の高速戦闘艇(HCB・High Speed Combat Boat)「チョンセチ(青旗魚)」の艦名は、長く鋭い吻を持つマカジキを指す。

 海兵隊が独自の戦闘艦艇を保有するに至った理由は、黄海に所在する北西島嶼の防御にある。北方限界線(NLL)を挟んで南北海軍が対峙する海域はワタリガニの漁場でもあり、常に偶発的衝突の危機を抱えている。

 海兵隊はHCBを保有することによって、韓国全域に24時間以内の機動投入が可能になったと主張する。一方、海軍が進水させた230トン級新型高速艇(PKMR:Patrol Killer Medium Rocket)4隻は、領海警備など沿岸域で活動する。

 だが、創設76年を経て独自の戦闘艦艇を持つに至った理由は、それだけではない。そこには海軍と海兵隊の関係再構築といった大きな潮流がある。

 海兵隊は独立した軍種ではなく、海軍傘下という位置付けで、海兵隊司令官は海軍参謀総長が委任した範囲内でのみ権限を行使できた。しかし、近年になって海兵隊の自律性と専門性を高める声が高まり、権限委任の議論が本格化した。

 そして遂には、12月9日の海軍・海兵隊ワンチーム定例協力会議で、既に委任された77件の権限に加え、海軍参謀総長が持つ残りの90件の権限を全て海兵隊司令官に委任することで合意した。海兵隊が独自の文化を持つことは「日本で報じられなかった韓国海軍創建80周年記念日、知られざる韓国軍の文化」でお伝えしたとおり。

 海兵隊は4つ目の軍種として独立するのか。ひき続き、ウォッチしていく。

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