オズモンド・チア・ビジネス記者
人気のバーボンウイスキー「ジム・ビーム」を製造するサントリーグローバルスピリッツは、米ケンタッキー州の主力拠点で来年1年間、同製品の生産を停止すると発表した。
同社は21日、BBCに対する声明で、「施設の改良に投資する機会を得るため、蒸留所を閉鎖したままにする」と述べた。
また、「当社は常に消費者需要に最も適した生産水準を評価しており、2026年の生産量について最近、チームと協議した」と説明した。
バーボンが有名なケンタッキー州では、複数の蒸留所が先行き不透明な状態にある。ドナルド・トランプ米大統領の貿易政策も一部影響している。
「ジム・ビーム」ブランドは現在、日本の飲料大手サントリーホールディングスが保有している。サントリーグローバルスピリッツは、ケンタッキー州の拠点全体で1000人以上を雇用している。
同社は、別の蒸留所やびん詰め・倉庫施設を含む州内のその他の事業は、来年も稼働を続けるとしている。ケンタッキー州のビジターセンターも、引き続き開館する。
一方で、「ジム・ビーム」の生産停止期間中、従業員をどのように活用するかを検討しており、労働組合と協議していると明らかにした。
業界団体のケンタッキー蒸溜酒造協会(KDA)は10月、州内の倉庫に保管されているバーボンの量が1600万樽(たる)を超え、過去最高に達したと発表した。
同協会によると、州によって課税されるバーボン樽は、今年、蒸留業者にとって「重い負担となる」7500万ドル(約118億円)の負担をもたらしたという。
アメリカの蒸留業者は、4月にトランプ氏がいわゆる「解放の日」を宣言し、世界のほとんどの国に関税を課した後、自社製品に対する報復的な輸入税に直面している。
KDAは10月、「過去10年間の事業拡張の多くは、世界的な成長を目指したものだ」と述べ、相互的で関税のない貿易への「迅速な復帰」を求めた。
また、アメリカとカナダの貿易摩擦も、アルコール飲料販売に影響を与えている。今年前半には、カナダのほとんどの州がアメリカ産スピリッツをボイコットした。
(英語記事 Bourbon maker Jim Beam halts production at main distillery for a year)
