イギリスの国境警備隊と王立救命艇協会(RNLI)によって英仏海峡から英ドーヴァーに移送された移民たち
英仏海峡で20日、800人を超える移民が13隻のボートを使ってイギリスに渡ったことが、英内務省のデータで明らかになった。12月の1日あたりの渡航者数としては、近年で最も多い。
1日の渡航者数がこれほど増えたのは、近ごろの悪天候の影響で、英南東部ケント州へ渡ろうとしていた人々が足止めされていたためとみられる。
この日の渡航者を合わせると、今年これまでにイギリスに渡った移民は4万1455人となった。昨年1年間の3万6816人を上回っている。
英内務省の報道官は、「小型ボートを使った渡航件数は恥ずべきもので、英国民にはもっと良い環境がふさわしい」と述べた。
20日に発見された移民803人は、イギリスの国境警備隊と王立救命艇協会(RNLI)の船に乗せられ、英仏海峡のイギリス側に運ばれた。
今年、英仏海峡で危険な横断を試みる人は、ここ数年と比べると急速に増えていた。ただ、1年間の総数としては、2022年の4万5755人をまだ超えていない。
英政府は声明で、「現政権は措置を講じている。これまでに5万人近い不法滞在者を排除しているし、フランスとの歴史的合意により、今では小型ボートで到着した者は送り返されている」とも付け加えた。
一方、フランス当局は先週末、英仏海峡の横断を試みた複数の小型ボートに関して救助活動をした。フランスの英仏海峡・北海管区の声明によると、151人が救助され、フランスへ戻された。
天候が影響
英仏海峡近くにある仏カレーで移民を支援する複数の慈善団体によると、この時期としては異例の数の人が、イギリスへの渡航を望み、フランス北部の仮設キャンプにとどまっていたという。
こうした状況は、強風の影響で28日間にわたり、小型ボートで英仏海峡を横断することができなかったことで発生していた。
20日は海が非常に穏やかだった。そのため、天気予報を熟知する密航業者たちは、定員超過の人数を素早くボートに乗せた。
英仏海峡は世界で最も危険な、通行量が多い海上交通路の一つ。
イギリスを目指す大勢の移民は、世界で最も貧しく、混乱した地域の出身で、英当局に保護された後に亡命申請をすることが多い。
英政府の取り組み
こうした中、英政府は、近隣諸国とも協力しながら、移民危機のいわゆる「上流」側の原因を把握する取り組みを続けている。
先週にはドイツで、新たな法律が可決された。これにより、移民をイギリスに入国させようとする密輸業者は最長10年の禁錮刑を科される可能性がある。
この法改正は年内に施行される。法執行機関や検察の権限を強化し、英独間の情報共有を促進することを目的としている。
これは、昨年12月に両国が合意した、ソーシャルメディア上の密輸業者の広告を削除する措置を含む、不法移民対策に基づくもの。
イヴェット・クーパー英外相は、 「ドイツでの大きな法改正は、不法移民や組織的な移民関連犯罪に対処するための緊密な協力の成果だ」と述べた。
「 我々は、自国の国境の安全を強化するため、国際的な協力を強化し続けていく」
(英語記事 More than 800 migrants cross Channel in December record)
