シリア西部ホムスのモスク(イスラム教の礼拝所)内で26日、金曜日の集団礼拝中に爆発があり、少なくとも8人が死亡し、18人が負傷した。保健省が発表した。
シリア国営通信(SANA)が公開した写真には、イマーム・アリ・イブン・アビー・ターリブ・モスクの内部が写り、壁が焦げて黒ずみ、窓が割れ、じゅうたんに血が付着している様子が見える。
SANAは治安当局の話として、建物内で爆発物が爆発したと伝えている。
当局の捜索が続く一方、イスラム聖戦主義組織サラヤ・アンサル・アル・スンナが犯行声明を出した。サラヤ・アンサル・アル・スンナは、スンニ派の過激組織とされている。
爆発のあったモスクはワディ・アル・ザハブ地区にあり、住民の多くはイスラム教シーア派の少数派であるアラウィ派に属している。
シリア外務省は「テロ犯罪」だとして攻撃を非難。ソーシャルメディア「X」に投稿した声明で、「卑劣な行為は、人間と道徳の価値をあからさまに攻撃」したもので、国の「安全と安定を損なう」ことが目的だとした。
どういう組織なのか
サラヤ・アンサル・アル・スンナは犯行声明で、現場に爆発物を仕掛け、別の組織と協力して攻撃を実施したと述べている。別の組織が何者かは明らかにしていない。
サラヤ・アンサル・アル・スンナは、いつどのように成立したのか、他のどの組織と結びついているのかなどが、不透明な組織。今年6月に首都ダマスカスで多数が死傷したキリスト教の教会爆破事件について犯行声明を出して注目を集めたものの、実際にその由来や、本物の組織なのかが疑われている。
一部の観測筋は、メッセージや標的の種類の類似性から、この組織が「イスラム国(IS)」の隠れみのかもしれないと推測している。
今回の犯行声明が出るまでは、サラヤ・アンサル・アル・スンナによる同様の声明は数カ月ほど途絶えていた。サラヤ・アンサル・アル・スンナはこれまで主に、少数派や、旧シリア政府の「残党」と同組織が呼ぶ相手を標的に攻撃を繰り返している。
昨年12月には、アラウィ派のバッシャール・アル・アサド前シリア大統領が失脚した。アラウィ派はシーア派の分派で、シリア国内最大級の宗教的少数派を構成する。
アサド政権が崩壊して以来、シリアでは宗派間の暴力が相次いでいる。アラウィ派は反アサド派の報復を恐れ、摘発の対象にもなっている。アサド前大統領は政権を支えたロシアに逃れ、家族と共に亡命を認められた。
戦争監視団体シリア人権監視団(SOHR)によると、今年3月にはアサド家の地元、沿岸部ラタキア県で治安部隊が数十人のアラウィ派を殺害したとされている。
(英語記事 Blast at Syrian mosque during Friday prayers leaves at least eight dead)
