ジャーマン・マーシャル基金のアレクサンドラ・デ・フープ・シェファー会長が昨年12月17日付けウォールストリート・ジャーナル紙に投稿し、欧州安全保障の行方につき、米国主導から欧州主導への移行は段階的かつ秩序ある形で、また協調的に行われるべきとして、そのための諸条件を提示している。要旨は次の通り。
ホワイトハウスの新たな国家安全保障戦略は、大西洋同盟関係の仕切り直しを加速させている。米国による安全保障上の負担の転換は本気だということになかなか気づかなかった欧州は、今や自らの防衛について切迫感を持って議論している。
欧州の指導者たちは、米国主導の安全保障秩序から欧州主導の秩序への確実な移行を計画する必要がある。この取り組みは、新たな大西洋同盟戦略の柱となるだろう。
米欧安全保障関係のリバランスには、防衛、イノベーション、そして国際社会への関与における協調的な取り組みが必要で、それには米欧双方の政治的リーダーシップが不可欠だ。
米欧間に新たな理解を形成する上で、やらなければならないことが3つある。
第一に、欧州は速やかに再軍備を進めなければならない。国内総生産(GDP)の5%を防衛費に充てるというコミットメントは、ほんの始まりに過ぎない。欧州は、米国の役割が縮小する未来を見据えた防衛態勢を必要としている。
米国の能力をシステムごとに複製するのではなく、欧州各国が自国の軍事力とドクトリンを反映させながら、米軍との相互運用性を維持した信頼性の高い抑止・防衛モデルを構築することが可能だ。
その中でウクライナは、将来の米欧間の信頼性を測る試金石となるだろう。米国と欧州は、侵略を抑止し、長期的な欧州の安全保障を支えるために、強固な安全保障の保証を伴う持続可能な平和を共同で構築しなければならない。
第二に、防衛イノベーションが米欧間に共通の使命とならなければならない。大西洋のどちらの側も、単独で地政学的なライバルを凌駕するイノベーションを実現することはできない。
米国は新興技術でリードしているが、欧州には産業力と高度な製造業がある。重要インフラの保護、ハイブリッド脅威への対策、そして安全な通信技術と次世代防衛技術の開発における共同作業は、政治的な雑音に関わらず継続されなければならない。
