第三に、米欧各国の政府は、もはや米欧間の連携が自動的でないということを受け入れなければならない。歴史的なつながりだけでなく、共通の利益に基づき、従来の大西洋同盟の枠を超えた柔軟な連携を構築する必要がある。
大西洋同盟の諸国は、影響力を維持すべく、強靭なサプライチェーン、良好なインフラ、技術へのアクセス、場合によっては確固たる安全保障を支える協力を提供しなければならない。
こうした提案は政治的にコストがかかるが、中東、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアの中核となる諸国との、柔軟かつ利益主導型の連合構築戦略は、新たなグローバル規範の形成に役立つだろう。
米国と欧州は共に、根本的な戦略的変化を経験しつつある。大西洋同盟関係が現状を維持できるという前提は欧州においてさえ支持者を失っているが、この変化は必ずしも危機ではない。パートナーシップの再構築は、同盟の長期的な持続性への投資なのだ。
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米軍の再編
この論説の著者であるアレクサンドラ・デ・フープ・シェファー氏は、米欧協力の強化をモットーとする米国の「ジャーマン・マーシャル基金」(GMF)の会長で、大西洋同盟の「崩壊」ではなく、米欧間のパートナーシップを基調とする新たな同盟のあり方という観点から、活発に提言などを行っている。
欧州の安全保障を米国主導から欧州主導へと転換して行くことは、トランプ政権の既定路線として受け入れざるを得ない状況にある。であるならば、そのプロセスがシェファー氏の指摘する諸点を踏まえた形で進められるに越したことはない。
ただし、今日のトランプ政権の欧州安全保障に対するアプローチは、少なくとも二つの点において深刻な抑止力ギャップを生ぜしめる可能性がある。
ひとつはトランプ政権が現在検討を進めている可能性のある、グローバルな米軍の再編との関係である。
昨年12月15日付けワシントン・ポスト紙を含む複数のメディアが、トランプ政権が検討中とするグローバルな米軍の再編について、概要以下のとおり報じている。
現在米軍は、①北方軍(NORTHCOM;米本土防衛等)、②南方軍(SOUTHCOM;中南米、カリブ海、麻薬対策等)、③インド太平洋軍(INDOPACOM;中国抑止等)、④欧州軍(EUCOM;ロシア抑止等)、⑤中央軍(CENTCOM;中東、イラク、アフガニスタン等)、⑥アフリカ軍(AFRICOM;テロ対策、現地軍育成等)の6つの地域統合軍を全世界に展開している。
