デジタル化で〝効率的な〟大きな政府の実現
2021年のデジタル庁発足は、行政の利便性向上を目的としたものではあっても、アナログ行政が露呈した機能不全を補うべく、戦時に強化された「お上が差配する」というパターナリズム(父権的介入)を、デジタル技術によってより深化した形へと再構築・強化しようとする企図をも内包している。
デジタル化がもたらす迅速な処理や自動化は、国家が国民の所得、資産、行動、さらには健康状態に至るまでをリアルタイムで把握し、より精密に、かつ自動的に「管理・支配」することを可能にするインフラの構築である。国家の「できること」を大幅に増やす。
かつて配給通帳が国民を「国家なしでは生存できない客体」へと変えたように、政府の関与は日常生活の細部にまで及び、支援や給付へのアクセスが容易になる一方、国民の政府依存が加速する。
日本が現在、100年以上続く国家主導の統治モデルの転換ではなく、より強固で逃れがたいデジタル・パターナリズムへバージョンアップしようとする国家の意思に、どう対峙するかという極めて根源的な問いである。
選挙期間も終盤戦だが、経済政策については、なぜ与野党とも目指す方向性に違いがないのか、各党の公約を見比べながら、考えてみてはいかがだろうか。
