台湾の検察は2024年に中国のスパイ活動容疑で15件、64人を起訴した。これは21年の3件から大幅に増加した。昨年の最初の9カ月間では24人が起訴された。
起訴された人の約3分の2は、現役または退役軍人だった。顧立雄国防部長は、軍関連の事件の約90%は内部からの情報提供によるものだと述べた。
Lai軍曹率いる大隊は、総統府の入口と廊下全体の警備を担当していた。この建物には、副総統、国家安全保障会議(NSC)とその議長および他の政府高官の執務室も置かれている。
22年4月、蔡英文前総統が台湾を中国とは異なる民主主義国家と位置づけ中国の怒りを買った時、Lai軍曹は仮想通貨での報酬と引き換えに、中国の工作員に文書の写真を渡し始めた。後に同氏は、台湾国防部のサイバーセキュリティ・電子戦司令部員をスパイ活動に引き入れた。
また総統府の任務を交代する時、彼は自身の所属大隊の者を後任として採用した。Lai軍曹のユニットは2年間にわたり、建物内で勤務する政府職員の氏名と顔写真、警備員の名簿とコールサイン、そして彼らの職務遂行方法を指導する訓練資料を中国に提供していた。
この作戦は、24年1月の大統領選挙まで続けられた。24年8月、ある兵士が総統府でのスパイ活動について当局に密告したことで、Lai軍曹らは同年12月に逮捕され、翌3月に有罪判決を受けた。
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様々な台湾軍事侵攻への〝準備〟
近年、中国による台湾への諜報活動が活発化していることは、軍や情報機関による報告でもしばしば取り上げられている。本件記事はその一部を具体例をあげつつ紹介するものであるが、中国による台湾への軍事侵攻の準備に関連していると思われる活動は、これに止まらない。
諜報・工作活動およびサイバー攻撃等、台湾の情報機関、国家安全局(NSB)によれば、近年、スパイ活動の容疑で起訴された人は21年に16人、22年10人、23年48人、そして24 年64人と急増し、20年から25年までに起訴された159人のうち、約60%が軍関係者とされる。
また、台湾のエネルギー、通信、輸送など重要インフラに対する中国ハッカーによると思われるサイバー攻撃も、23年以降急速に増えている。23年には1日あたり平均123万回であったのが、翌24年には2倍の246万回となり、25年には微増の263万回だった。
他に、認知戦強化の一環として、SNSを使った台湾の世論への浸透も活発化している。25年にはNSBが4万5000件以上の偽アカウントを記録し、台湾総統選が行われた24年と比較しても1万7000件以上増加した。また同年にNSBが記録した偽情報は231万件以上に上るという。
また、中国軍による台湾侵攻の準備の一環と見ることのできる軍事活動も、22年頃以降、活発化している。22年8月、当時のペロシ米下院議長による台湾訪問の直後、中国は4日間にわたり台湾周辺の6つの指定海空域で過去最大規模の実弾射撃訓練を実施した。
その後、台湾周辺での類似の大規模演習は毎年1、2回実施されている。23年は空母「山東」が台湾東方沖に展開し、24年には海警局も参加した統合演習を実施し、25年には最大規模の演習となった。各年の対象海域をつなぐと、台湾を封鎖する場合の全ての海域をカバーできている。
