2026年2月19日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年2月19日

 カーニーは訪中の際に、中国は米国より信頼できる貿易相手だと述べた。中国はカナダにとって2番目の貿易相手だが、年間貿易総額は約800億ドルで、米国との年間貿易総額1兆ドルの10分の1以下だ。 米国・メキシコ・カナダ貿易協定(USMCA) は本年再交渉されるが、ラトニック米商務長官はカナダが中国との貿易関係を深化させれば、USMCA 再交渉妥結への障害になり得ると述べた。

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米国とのガチンコ勝負の先は

 最初に、カナダにとり米国と正面衝突することの損害を見ていこう。まず、貿易では、カナダの輸出の75.9%が米国向けで、2位中国の4.1%、3位英国の3.7%に比べ、突出して多い。これに100%の報復関税が課されれば、カナダの輸出産業にとっては大打撃だろう。

 一方、カナダの輸入の49.2%が米国からであり、輸出に比べれば比率は低いが、同じく2位中国の11.6%、3位日本の2.8%に比べれば、突出している。対米輸入にカナダが対抗関税を課すことのカナダにとってのダメージは大きい。

 それでは、米国から見ればどうか。米国の輸出の17%がカナダ向けで、2位は USMCA参加国のメキシコ16.2%、3位は中国7.0%、日本は3.8%に過ぎない。カナダが米国からの輸入に対抗関税をかけたとしても、米国経済全体から言えば、影響は限定的である。

 米国の輸入については、1位はメキシコの15.5%、2位は中国の13.4%、カナダは3位で12.6%である。なお、今や日本は4.5%に過ぎない。仮にカナダが対米全面禁輸に踏み切ったとしてもマクロでみる限りは、その影響は限られるだろう。もちろん自動車部品等不可欠な輸入品など特定産業への影響は深刻足り得る。

 それでは、特定分野でカナダが梃を持つものは無いのか。カナダのエネルギー(石油とガス)輸出の76%が対米輸出で、これはカナダの全輸出の22%を占める。一方、米国の原油輸入の62%がカナダからであるが、実は、米国は世界最大の産油国で、輸出・輸入ともに大きい。

 純輸入ベースでのカナダ原油輸入への依存度は10~12%で、総輸入ベースでの対外依存度は30%なので、カナダからの輸入への依存度は18~21%だ。ガスについても米国は輸出が輸入の3.4倍あり、完全自給が可能だ。

 それでも、北部における冬場の需要急増等への対処のために、総消費量の10%程度を輸入に頼っているが、その輸入の99%はカナダからだ。少し分かり難いが、エネルギーでもカナダが対米レベレッジを持っているとは言えず、逆に米国の需要に過度に依存するカナダの姿が見えてくる。


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