2026年2月20日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年2月20日

 絶対的君主というトランプのヴィジョン、親族、熱烈な忠誠者(スティーブン・ミラー大統領次席補佐官、クリスティ・ノエム国土安全保障長官)、秀でた超エリートの富豪(ピーター・ティール、PayPal、OpenAI、Palantir やマーク・アンドリーセン等のハイテクエリート)からなるクリークへの依存は米国の外交のみならず国際関係そのものを形成する。

 新王政主義体制の目的は少数のクリークが支配的地位を維持できる仕組みをつくることである。主権の平等や不介入といった概念を拒絶し、クリークが支配的地位にあるとみなし、ライバルとなる「偉大なクリーク」しか同等とみなさない。

 トランプは君主付クリーク外の人達には国際関係上の権威をほとんど認めない。カナダの首相を「知事」と呼び、グリーンランドを支配しようとするのは、カナダやデンマークを従属的な地位に置くためである。

 トランプは一期目から欧州連合(EU)や欧州の米国の同盟国に敵意を抱いていた。EUを「敵」、「詐欺」と呼んだ。EUを目の敵にするのはLIOを非正当化する努力の一環である。

 EUが協調的な法治体制を象徴しており、非正当化しなくてはならないからである。究極的には、絶対的統治者と資本、情報と力をコントロールする廷臣が結託することが新王政主義の持続力を決めることになる。たとえ新王政主義が体制としてLIOに取って代わることがなくとも、クリークたちの利権や理屈は新たな秩序に反映されることになろう。

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同盟国も他国の指導者も従属させる

 トランプ政権の施策をドンロー主義や新帝国主義で理解するようになっているが、本論文はトランプ政権の振る舞いは、中世の絶対王政のようだと、「新王政主義」という定義を紹介している。国家とか国益という概念はなく、トランプが世界を意のままに支配する絶対的な「王」となり、一族と、本論文でクリークと表される少数の限定的な超エリートを永続的に資する体系を作ろうとしていると論じている。トランプの言動は、絶対王政時代にフランスのルイ 14 世が「朕は国家なり」と述べた事を彷彿させる。

 自由貿易体制を覆したトランプ関税は、米国経済にとっても理にそぐわない。他国の指導者を恐喝や卑下する発言をしたり、グリーンランド領有を脅迫したりするのは他国を従属的地位に貶めるためとの分析は、まさにその通りであろう。リベラルな国際秩序を体現するEUを分断する狙いも見える。


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