2026年2月20日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年2月20日

 米中ロで第二のヤルタのような合意が形成されるといった懸念もあるが、トランプは中国やロシアですら同等の大国とみていないだろう。基軸通貨であるドルと圧倒的軍事力をコントロールするアメリカ大統領であるトランプは、自国民はもちろん同盟国も他国の指導者も従属を余儀なくさせ、世界秩序の支配者となろうとしているという論文の指摘は一笑できない。

 トランプの新王政主義を支えるクリークとして親族、絶対的忠誠者、そして秀でた超エリート富豪が上がっているが、超エリート富豪とはボリガルヒ(brotherとoligarchの合成語)といわれるシリコンバレーのハイテク企業のトップたちが中心である。論文で名の上がっているティールやアンドリーセン以外にもNVIDIAの最高経営責任者(CEO)ジェンスン・フアン、AIや暗号資産担当のデーヴィッド・サックスは常にトランプの近くにいるとされる。一時袂を分かったマスクもサウジアラビアのムハンマド皇太子歓迎晩さん会には出席しており、互いの野望に欠かせない存在である。

大統領任期後にも影響か

 アメリカの民主主義は「偉大な実験」といわれる。王政を否定し、啓蒙主義の原則を取り入れ自由と平等を重んじる共和制はまだ成長過程である。

 建国の父たちは、トランプのような大統領が誕生するとは予測できなかったであろうが、支配者が権力を合法的な権限内に収め、共通善と人民に仕える体制を維持する難しさは理解していた。今アメリカはその危険な状態にある。

 神に権力を与えられたと唱えるトランプにとって国益も、憲法をはじめ法律も、ここまで世界の発展に貢献した同盟体制も意味がない。その人物の任期はまだ3年ある。

 さらに第3期目はないにしても、ガザ復興のための平和評議会はトランプに永続的な権限を与えており、「トランプの国連」が目的ではないかともいわれている。次期大統領が共和党であろうと民主党であろうとトランプの4年間で変貌したアメリカや国際秩序がもとに戻る可能性は低いだろう。

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