日本を出る
王国への道 –山田長政– 遠藤周作 新潮文庫 737円(税込)
関ヶ原の戦い以降、戦国の世が終わり、泰平の世がやってきた。しかしそれは、才覚と力量で成り上がろうとした藤蔵(山田長政)や、追放令が出されたキリシタンの冒険家・ペドロ岐部にとって、自分の居場所が日本からなくなったことを意味した。長政のシャム(タイ)のアユタヤ王朝における立身出世の物語を主軸にしつつ、マカオから、バグダッド、エルサレムを経てローマへと渡り、司祭となった岐部の軌跡が交差して描かれる。2人の最期は大円団とはいえないが、400年以上も前に、日本を飛び出して活躍の場を世界に求めた日本人がいたことに勇気づけられる。
日本開国の舞台裏
新装版 海の祭礼 吉村 昭 文春文庫 1012円(税込)
1853年、ペリー率いる米海軍の黒船が浦賀にやってきて開港や通商を求めた。これにより、鎖国が終わり、明治維新につながっていくというのがざっくりとした歴史認識だ。しかし、この交渉のやりとりを誰がするのか? 通詞(通訳)だ。ネイティブアメリカンを母に持つラナルド・マクドナルドは日本に行くことを志し、1848年、捕鯨船を降りて利尻島に上陸する。その後、長崎で通詞・森山栄之助に英語を教える。そして、この森山がペリーとの交渉で通訳に立つのだ。
自由を求めて獲得した知恵
民主主義 文部省 角川ソフィア文庫 1012円(税込)
日本国憲法施行後に中高生向け教科書として当時の文部省から発刊された。軍国主義で多くの犠牲を生んだ敗戦の記憶が、皆の心に刻まれていた時代だからこそ、民主主義がいかに尊いものかを丁寧に解説する。民主主義は単なる「政治の手段」ではなく、「人間を尊重すること」であり「それを実現させようとする人々の態度」なのだという。この本質は国や時代が違っても変わらない。自分は今、「人任せではない姿勢」で国や他者と向き合えているだろうかと考えさせられる。
