わざわざ「日本に行く」とは言わないが…
1人目は杭州出身の30代の男性で、仲間らと数人で日本旅行にやってきた。正確に言えば、春節休暇に入る直前までで、春節後半の現在はすでに中国に戻っている。
筆者のこれまでの記事でも指摘してきたが、自営業の人などは、中国政府が定めた公的休暇の日程に縛られず、自由に旅行に行くことができる。春節中は航空券が高騰することと、チケットが取りにくくなること、空港が大混雑するため、いつも春節前を狙うのだ。この男性も自営業のため、春節前を狙って、日本旅行にやってきた。
この男性は日本が大好きで、これまでに何度も日本旅行にきているが、筆者が「渡航自粛要請の影響はなかったのか」と聞くと、意外な答えが返ってきた。
「自分で会社をやっているので、とくに政府の呼びかけの影響はありませんね。取引先の中には日本が嫌いな人もいますので、わざわざ『日本に行く』とは言いませんでした。パソコンを持っていけば、急用には対応できますので、どこにいるのかわかりません。でも、もし日本に行くといっても、取引先に雇われているわけではないので、とくに問題はなかったかなと思います」
この男性はこう言うと、今回の旅程を教えてくれた。行き先は青森県だ。
まず、日系の航空会社で成田空港に到着し、都内で在日中国人の友人と久しぶりに再会して食事をした。その際、とくに日中関係のトピックは出なかったという。
中国政府は日本の治安悪化を理由に渡航自粛を呼び掛けているが、「そんなことはないと皆知っていますよ。だから、安心して友人と会いました。話はもっぱらお互いの仕事とか家族の話でした」とこの男性は話し、続ける。
「翌日は友人らと日本の国内線に乗って青森県に出かけ、太宰治記念館(斜陽館)や千畳敷海岸に行きました。中国の書店で太宰の本を読んで興味があったので、実際に青森に行ってみたかったんです。雪景色の写真も撮りたかったので。温泉にも入りました。
現地の人たちはとても親切で、中国人客に会うこともなく、静かでよかったです。SNSに投稿したら、反響が大きかった。皆、日本に行きたいと思っているのではないでしょうか」
