2026年5月1日(金)

Wedge REPORT

2026年5月1日

首都圏の新聞配達は、10年ほど前から
留学生バイトへの依存が急速に進んでいる

 実は、首都圏の新聞配達は、10年ほど前から留学生バイトへの依存が急速に進んでいる。時間的、体力的な厳しさが敬遠され、新聞配達をやりたがる日本人は都会では珍しい。人手不足の職種は他にもあるが、新聞販売所では外国人実習生の受け入れが認められない。そのため留学生が重宝される。

 留学生が新聞配達をやること自体に問題はない。ただし、留学生のバイトは法律で「週28時間以内」と定められている。しかし朝夕刊を配達すれば、販売所が配慮しない限り週28時間では終わらない。

 筆者は新聞配達の現場で働く留学生を10年以上前から繰り返し取材してきた。配達に同行し、密着取材したことも何度かある。その経験からも、新聞配達に従事する留学生の多くが週28時間超の違法就労を強いられていることは断言できる。しかも超過分のバイト代は払われない。残業代を払えば、販売所が違法就労を認めたことになり、入管当局から責任を問われてしまうからだ。(2020年5月12日『コロナ禍『困窮留学生』を憐れむ大手新聞社の欺瞞』)

 タン君の就労も週40時間以上に及んだ。休みは月1日の新聞休刊日以外は全く取らせてもらなかった。留学生に認められるアルバイトの上限時間に加え、バイトを含めて最低で週1日の休日を与えるよう定めた労働基準法第35条の違反でもある。

 タン君と一緒にベトナムから来日し、他の販売所に配属された留学生たちも週28時間以上働いていた。だが、週1日の休みはあった。タン君は納得できず、販売所の担当者に直訴した。

「でも、ウチは忙しいから我慢してほしいと言われ、相手にしてもらえなかった」

 賃金は早朝手当を含め額面で月17万3500円だった。新聞配達所で働く日本人の一般的な賃金よりはるかに安い。しかも来日して3カ月後から日本語学校の学費として毎月「7万2385円」が天引きされるようになった。ベトナムの送り出し業者に半年分の学費を払っていたはずなのにだ。しかし、タン君に販売所と交渉できるほどの語学力はない。

 他にも月1万円の光熱費などが差し引かれると、手取りは月9万円にも満たない。これでは生活していくのがやっとで、ベトナムで背負った借金の返済も進まない。(続)

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る