安全保障にも影響
問題は、経済を超えて、安全保障にも及ぶ。6月上旬、フランス、ドイツ、スペインは、過去9年進めていた次世代戦闘機(FCAS)の共同開発の中止を首脳会議で合意した。
中心の要因は、独仏企業間で「作業分担や主導権」をめぐる対立が解消できなかったことだ。防衛概念の不一致もあったという(仏は、原子力空母で運用できる艦上機が必要)。
ドイツの日英伊共同開発(GCAP)への合流論も取り沙汰されている。他方、フランスは非常に難しい選択に直面しているようだ。帰趨はいまだ分からない。
相互依存の裏側には、脆弱性がある。もう40年以上前、著名な国際政治学者のジョゼフ・ナイとロバート・コヘインが相互依存の時代を議論していた時から分かっていたことである。
脆弱性の武器化を抑えてきたのは、70年代の石油危機の経験とそれは誰の利益にもならないという当時から今日までの世界の主要国とその指導者達の見識と自制だった。それを破ったのは、トランプだ。トランプの歴史的失政である。
トランプの対中関税攻撃は、中国の重要鉱物の対米輸出規制報復によって、完全に無力化された。なぜ、それを予見できなかったのか、不思議だ。
トランプは裸にされた。そして、中国は、ここ数年米国が対中競争でやってきたことを真似ている。特定「物資」の輸出規制や特定「企業」への取引規制(エンティティ・リスト)の政策だ。
6月29日にも、中国は日本の特定企業を中国の規制リストに掲上した。トランプは、中国に悪い先例ばかりを教えている。武力の一方的行使の他、ホルムズ海峡の問題も、米が海峡封鎖をし、イランがそれに封鎖で対抗、今やホルムズ海峡のこれまでのレジーム(何世紀にも亘って築き上げた)が維持できるかどうかに跳ね返ってきている。
