「ハマスはまた立ち上がる」――支持層の投稿と指導部への失望
ハマス支持層が抱いてきたイデオロギーが一夜にして変わるものではないことも難題だ。オンライン上では、支持派による「これを無条件降伏と思うな、運動(ハマス)はまた立ち上がる」といった投稿がトランプ氏による発表以降、相次いでいる。
「ガザ内部でハマスが敗北を受け入れ、武器を明け渡すことを望む者たちがいるが、ハマスの降伏を夢見るものには長く眠りにつくことを進める、なぜならそれは失敗する賭けだからだ。ヒズボラも停戦を受け入れた際に武装解除が含まれていたが、適切なタイミングで再び武器を手に取った」と、ヒズボラの例を挙げて再び武器を取ることを正当化するような書き込みもある。
中東テレビ局アルジャジーラで、交渉団のガジ・ハマド氏は「ハマスはイスラエル占領軍が合意で課せられた義務を実行しない限り、いかなるステップも実行しない」と語った。それを引き合いに、「ネタニヤフはハマスの武装解除を望み、その後、ガザでの集団虐殺を継続しようとしている。これをハマスは良く知っているため、罠に嵌ることも自殺的な行動をとることもない」と、武装解除にハマスが応じることはないだろうとの信念を持ち続ける者もいるようだ。
ハマス指導部が、戦闘員ら全員の行動を完全にコントロール下に置くことができるわけではない。占領下で長年培われてきた武力抵抗の思想は簡単に変わるものではないだろう。事実、複数のガザ市民の目撃証言によれば、停戦合意以降もハマスは若者のリクルート活動や訓練を続けており、街中や市場での存在感を強めて反対派を弾圧するなどの行為を行ってきたのはガザ内部において周知の事実だという。こうした実態がイスラエル側に攻撃継続の口実を与えていることも、事を複雑にしている要因だ。加えて、ガザ内部で対立する武装ギャングの問題もある。事態は決して一筋縄ではいかないのが現状だ。
一方で、イスラエルへの怒りはさることながら、戦争開始から1000日以上が経過した今になって譲歩の姿勢をようやく見せたハマス指導部に対して、やり場のない憤りを示すガザ市民は少なくない。「ガザ地区全体が瓦礫の山となった後で『民衆を救いに来た』と言われても困る。それは皆が帰り始めた後に巡礼(ハッジ)に向かうようなものだ」との痛烈な皮肉や、ハマス指導部が犠牲者の数を「公開オークション」のように扱い、交渉の切り札に利用してきたとして非難し、「いよいよ自分たちの組織としての終わりが近づいたのを自覚したからこそ、今更になって譲歩したのだ」と切り捨てる市民もいる。
結局のところ、イスラエルとハマス双方が合意内容を遵守して初めて、プロセスは前進し始めるものの、その大前提の条件において譲歩の兆しが見られない限り、ガザの復興が始まることはない。その間にも、ガザの死者は7万3000人以上(ガザ保健当局発表)に達し、破壊の規模は今もなお広がり続けている。
