〝点〟でなく〝面〟で開発
他の地域でも実現は可能
Fビレッジはイノベーション開発拠点にもなっている。前出の前沢さんは「まちの発展には事業創出が欠かせない」との思いを持ち、かねてからつながりがあり、世界中の事業創造の〝種〟へのネットワークを持ち、米サンフランシスコに本社があるスタートアップ投資・事業共創を展開するスクラムベンチャーズに依頼。実行されたグローバルアクセラレーションプログラム「HokkaidoF Village X(HFX)」は世界中からスタートアップを募り、周辺自治体やパートナー企業とつなぎ、最新技術やアイデアを新規事業や社会課題解決につなげている。
すでに日本1社、海外10社が採択。猛暑対策や自動運転、高齢者の見守りなど、球場内外で実証実験や実装が進められている。スクラムベンチャーズ戦略担当執行役員の上松真也さんは「世界でも北海道の知名度は高く、課題先進国である日本で、人口減少や人手不足に取り組めることに注目されている。ファイターズが持つ認知度や影響力で企業価値を高められる好機と考える企業も多い。今後、北海道発の事業が生まれる可能性もある」と語る。
前出・副市長の川村さんは今後の北広島市について「ボールパークがあるまちづくり、ボールパークがあるからこそのまちづくりをしていきたい。Fビレッジでしっかり稼ぎ、そのお金で地域の課題を改善させる。一つひとつ問題を解決し、市民が10年後も20年後も誇れるまちにしたいですね」と将来を見据える。
広大な土地がある北海道だからできること──。そう思う読者がいるかもしれない。ただ、スポーツと地域経済に詳しい早稲田大学名誉教授の間野義之さんは「スタジアムという〝点〟ではなく、周辺も含めた〝面〟で開発することができれば他の地域でも応用は可能です。例えば、ジャパネットグループがJリーグのV・ファーレン長崎のスタジアムを核に開発した『長崎スタジアムシティ』は7ヘクタールほどの土地にホテルやショッピングモールを詰め込み、地域に活気を与えています。試合がない日にも集客・集金する仕掛けを周辺と一体となって作れば、地域経済を活性化する力は北海道以外でも十分にあります」と話す。
「ただし、スタジアムや周辺施設を単に作れば良いわけではない」と間野さんは言い、こう続ける。
「北海道も長崎も民間企業が熱意を持って〝本気〟でやり続けている。これが必要不可欠です」
Fビレッジの動きは、地域活性化を求める私たちが注視し、学ぶべき成功事例の一つだろう。
