プロ野球の2軍は、新本拠地への移転ラッシュを迎えている。巨人と阪神が今年3月に新スタジアムを開業し、日本ハム、ヤクルト、ロッテも選手育成の強化や施設の老朽化などを理由に相次いで移転計画を発表した。
新球場の大きな特徴は、観客席を大幅に増設してファンを呼び込む狙いがある点だ。さらに球場内や周辺に集客ニーズの高い施設が一体的に整備される傾向もあり、誘致する自治体も交流人口の増加や地域活性化に期待を寄せる。
メジャーリーグ仕様を取り入れたスタジアムの「ボールパーク化」は、日本でも1軍から流れが広まっていったが、規模を縮小しつつも2軍施設にも波及していることがうかがえる。2軍は従来、選手の強化・育成などのために運営されるため、直接的に利益を生まない「コストセンタ-」というのが球界の常識だったが、新球場の整備によってビジネスチャンスが到来し、「稼ぐ時代」へとシフトできる可能性が高まりつつある。
日ハム2軍施設の〝構想〟
5000人規模の観客席を備えたメインスタジアム――。プロ野球の日本ハムは7月7日、千葉県鎌ケ谷市に置いていた2軍の施設について、2030年をめどに1軍と同じ北海道内に移転させる方針を発表した。
すでに1軍本拠地の「エスコンフィールド北海道」がある北広島市や札幌市など、6つの自治体と情報交換を進めており、27年中の着工に向けて移転先の選定を絞り込んでいくという。
日本ハムの2軍は、1軍本拠地が東京ドームだった1997年から千葉県鎌ケ谷市に置き、地元との結びつきも強かった。米大リーグ、ドジャースで活躍する大谷翔平選手らもここから巣立った。
そんな鎌ケ谷からの施設移転を決めた背景には、球場の老朽化に加え、1軍との移動距離の大幅な縮小に伴う連携強化などがあった。球団の構想では、道内に新たに設ける2軍の拠点は、練習用のサブグラウンドや室内練習場、選手寮などに加え、けが人のリハビリ施設などを充実させる。
