2軍単体で収益化は図れるか
プロ野球チームにとって、2軍は長らく、1軍未満の選手の育成・強化を目的とし、若手中心の選手も「半人前扱い」だった。このため、よほど熱心なファンでなければ、2軍戦を観戦することはなく、昨季の1試合平均の観客数も約1000人にとどまる。
海の向こうのメジャーリーグ傘下のマイナーリーグの球団は、メジャー球団と選手育成契約を結ぶことで、選手、コーチらの人件費などを負担してもらいながらも、大半は資本関係がなく独立採算で運営している。これに対し、日本は1軍と同じ球団が運営し、経営面では大きな負担となっていた。過去には、横浜(現DeNA)やオリックスなどが、2軍の赤字削減や独立採算を目指し、チームにスポンサー名を冠するなどの試みを行ったが長くは続かなかった。
本拠地移転を進めている球団は、単に2軍レベルの試合観戦を“ウリ”にしているのではない。スタジアムと周辺施設での滞在を楽しむ「コト消費」の視点から、野球を核としたエンターテインメントの提供や地域活性化への貢献に対する期待が、2軍といえども、地元住民や自治体、ファンに受け入れられやすい土壌を生んでいる。
26年シーズンからは2軍の公式戦が「1リーグ・3グループ制」に再編される。これまでイースタンとウエスタンの2リーグ制だったが、地域ごとに東、中、西の3グループに分かれる。
現状は24年シーズンから1軍を持たない2球団(静岡のくふうハヤテ、新潟のオイシックス)が新加盟して14球団体制だが、将来的にはさらなるエクスパンションに向けた議論も進んでいるという。現状では、1軍を持たない2球団の経営状況はまだ厳しいが、2軍単体でも収益化を図ろうとする流れは、今後も広がりをみせていきそうだ。
