2026年9月2日(水)

食の「危険」情報の真実

2026年9月2日

日本への輸入は?

 この報道を受け、日本でもネット上で中国産食品をバッシングする投稿が見られる。投稿は、白菜だけでなく、ウナギや加工食品などにも疑惑の目が向けられていた。確かに、大量の食品が中国から輸入されていることを考えれば、不安になる気持ちも分からなくはない。

 しかし、食の安全問題に詳しい「食の信頼向上をめざす会」代表の唐木英明・東京大学名誉教授は「白菜の輸出先は韓国ということですが、たとえ中国産の白菜を材料にした韓国産のキムチを日本が輸入したとしても、韓国の検査でホルムアルデヒドは『不検出』となっていたと報じられています。過剰な心配は不要でしょう」と指摘する。

 中国が取り締まりに乗り出したのはホルムアルデヒドの使用が法律に違反しているからで、それを使った食品で健康被害が出たからではない。業者の不正行為は断固として非難されるべきだが、違反食品に健康被害を起こすような危険があるかはまた別の話だ。

 ホルムアルデヒドは「水に溶けやすく揮発性が高い」という化学的特徴がある。仮に表面に付着していたとしても、調理時に水で洗う、煮る、あるいはキムチのように塩漬けにして発酵・洗浄する工程を経ることで、その大半は水に溶け出すか気化して飛んでしまう。生産・流通現場での違法行為は厳しく取り締まるべきだが、それと白菜や加工食品の安全性は分けて考える必要がある。

中国産ビールで大バッシングも

 中国産食品からのホルムアルデヒドの検出は過去にも起きている。中でも2005年、中国産ビールに醸造工程でホルムアルデヒドが使用されていることが問題となり、世界中で「発がん性物質入りビール」として大バッシングが起きた。ホルムアルデヒドはビールの濁りを防ぐ清澄剤として使われていたという。

 ただ、騒動を受けて調べたところ、ビールから検出された濃度は世界保健機関(WHO)が定める飲料水のガイドライン値(1リットル当たり0.9ミリグラム)を下回る微量(同0.1~0.6ミリグラム)なものだった。また、ビールの場合、ビール酵母の自然な発酵過程でも微量のホルムアルデヒドが生成される。最終的に健康上の問題はないと結論付けられたが、多くの消費者には中国産食品への不信感だけが植え付けられたかもしれない。


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