最後に、極めて重要な点として、こうした異なる対応は米国の同盟国からも指示されている。韓国の進歩派大統領、李在明は、朝鮮半島での軍事衝突を避けたいと考え、トランプの北朝鮮との外交を歓迎する。
対照的に、イスラエルのネタニヤフ首相は、米国に対しイランへのCVID要求を促し、軍事力を行使すること、さらにはイランからの軍事的報復を受けることも辞さない姿勢を示してきた。中国もまた、自国の近隣地域で米国が武力行使する事態を避け、ウクライナ問題を機に強化されたロシアと北朝鮮の連携を弱めるために、トランプと北朝鮮との対話拡大を支持する可能性がある。
これを複雑化にしている要因がある。イランと北朝鮮は米国から異なる政策を向けられているが、同時に互いから学び合ってもいる。両国はミサイル開発で協力し、米国によるイランへの攻撃は、核兵器こそが米軍を抑止できるという北朝鮮の確信をさらに強めた。
米国がイランの能力を完全に破壊できなかった事は、北朝鮮に自信を与えた。イランもまた、核計画を再構築するために、北朝鮮に協力を求める可能性がある。
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結実しなかった北朝鮮との協議
トランプからすれば、イラン問題で成果を出せない中で中間選挙を前に時間的余裕がない。一方、金正恩はトランプとの会談は欲していても、特に急いでいるわけではない。今トランプが金正恩との会談を求めるのは、交渉姿勢として賢明とは言えない。
それでも第4回米朝首脳会談は行われる可能性がある。日米、日韓、日米韓の各関係で公式・非公式に協議が行われていることだろう。トランプが「北朝鮮の非核化」という看板を降ろすのか、チャの主張とも関連し、トランプに認識してほしいことがある。
第一は、2017から19年の米朝間のやりとりから学ぶべき教訓だ。17年、北朝鮮は3回のICBM実験を行い、さらに水爆実験も強行した。これに対し当時のトランプ政権の反応は非常に厳しいものだった。
4月には空母カールビンソンを朝鮮半島近海に展開し、ICBM実験の翌月には「炎と怒り」と称して軍事攻撃の可能性を示唆し、過去最大の制裁を国連安保理で可決させた。同年秋には空母3隻を日本海に展開し、加えて北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定し、独自の経済制裁も強化した。
当時のトランプ政権は、北朝鮮に対する軍事行動の発動を選択肢として想定していた。このような米国の強硬措置の末に、翌18年のシンガポール首脳会談と、北朝鮮が「朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組む」との文言を含む共同声明の署名という成果があった。また北朝鮮は18年、ミサイル実験を全く行わなかった。
