ところが、シンガポール会談後、トランプは米韓合同演習を中止した。そして、19年2月のハノイでの首脳会談では「非核化」を含め、会談は決裂した。同年6月には板門店で首脳会談を行い、実務者協議の再開が合意された。ところが同年10月にストックホルムで行われた米朝実務者協議は1日で決裂し、北朝鮮は再びミサイル発射実験を続け、22年から24年にかけてICBMの発射実験を繰り返した。その行く末に、今日の北朝鮮の核・ミサイル戦力がある。
ウクライナ戦争以降進むイランと北朝鮮の協力
第二に、北朝鮮とイランの関係である。チャは、両者への対応が異なることは、それぞれの核開発の現状を考えれば合理性があると主張するが、両者の間には長い軍事協力の歴史があり、一方への譲歩が他方に影響しないとは考えられない。
もともとイランも北朝鮮も、ウラン濃縮技術はパキスタンのA.Q.カーン博士の闇市場を通じて得た。2010年代の核実験の際には、北朝鮮の実験場にイランの軍事視察団がきた。
特に協力が進んでいるのがミサイル開発だ。イランの中距離弾道ミサイル「シャハブ3」が北朝鮮の「ノドン」をベースに開発されたもので、「シャハブ4」や「サフィール」も北朝鮮の「テポドン」や「ムスダン」がベースになっているとみられている。
さらに、ウクライナ戦以降、ロシアを通じて北朝鮮・イランの軍事協力が進んでいる。両国の兵器に共通性があることは、ウクライナで回収された両国由来の兵器の破片からも判明されている。
第三は、米韓合同演習を中止することの意味合いの重さだ。8月16日、トランプは突如、米韓合同演習の「大幅縮小」を指示した。この演習は8月17日から27日まで予定され、前半が防衛、後半が反撃の演習に当てられていた。ところがトランプの指示により後半が実施できなくなった。抑止力への影響が懸念される。
