2026年9月21日(月)

勝負の分かれ目

2026年9月21日

 こうした背景には、ペアを普及させ、日本にペア競技を根付かせたいという2人の強い思いがある。実際、木原さんは会見でこんなふうに語っている。

 「オリンピックの後、たくさん注目してもらえるようになりましたが、今の一瞬だけで終わらせたくないと思っています。一瞬のことで終わってしまわないように、たくさんのことに挑戦をしていきたいと思っています」

 メディアが作り出す人気に対して、「受け身」ではなく、五輪から間もないこの時機を生かすために、周囲のサポートを得ながら積極的に動いていく。婚約者でもある2人は、新たなチャレンジを通じて成長も続けている。

全国ツアーは「挑戦」との思いを語る(筆者撮影)

 木原さんは「THE DESTINY」のプロデュース経験をこう振り返っている。

 「『THE DESTINY』をプロデュースしていく中では、最初は、わからないことが多く、自分たちでミーティングをしていく中でも、意見のぶつかり合いがたくさんありました。今までの呼んでいただくアイスショーとは違って、色々なことに気を配らないといけなかったですし、途中で心が折れそうになった時もありました。しかし、最後に全員で“完走”できたときに、最高の経験になったと達成感を味わうことができました」

 そして、今回のツアーに向けても、万全の準備を怠らない。

 「THE DESTINY」との差別化を図り、今回のツアーはシングルスケーターも参加する計画で、出演者はすでに10人ほどが決まっているという。

 一方で、2人が出演する時間や回数を増やし、ショーならではのリフトも披露する計画だ。そのために、現役時代と変わらないハードなトレーニングを積み重ねているという。

アイスショーのレベルを高められるか

 日本国内のフィギュアスケートによるアイスショーは盛況だ。それもそのはずで、日本は2000年代前半以降、数多くのトップスケーターを生み出し、「フィギュア大国」の仲間入りを果たした。そして、人気スケーターたちがプロに転向し、アイスショーへの参入が相次いでいる。

近年の人気が高いアイスショーは、会場外でも配信が行われる。日本におけるフィギュアスケートは「観戦型スポーツ」としても定着したといえる。

 一方で、観客席のファンがショーを鑑賞するレベルも高まっている。ショーを開催すれば、客席が埋まるという単純な構造にはなく、どのスケーターが、どんなコンセプトで実現させたアイスショーなのかも観戦動機における重要なウエイトを占める。ある意味では厳しい時代にもなり、スケーターによるショーや演技の完成度はもちろん、スケーターそれぞれが持つストーリーへの共感を呼び込めるかも大切な要素になってきている。

 “りくりゅう”も今後、ペアというカップル競技の魅力を、アイスショーという舞台でどのように伝えていくのか。精力的な挑戦は、まだ始まったばかりだ。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る