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2014年8月19日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 ただ女性の演説にも不可解な点がある。演説内容は良くできているが、女性の写真はネット上でいくら探しても見つけられない。動画も多く出回っているが、もう一人のピンク色の服の女性は顔も出ているのに白い服の女性にはモザイクがかかったものしか見つからない。政府や婦人組織職員の可能性もあるが、検閲があるとはいえ、これほど話題なのに写真が全く出ないのは奇妙である。

 また中国で問題視される汚職に絡む高官の愛人問題への言及もない。汚職高官の愛人とのピンク写真、動画が拡散するような「色情ゲート(中国語では艶門事件と称される)」事件こそが真の意味で政権の問題だろうが、演説の議論では当局の意向を受けたような民族的尊厳ばかりが強調される。内容には説得力があるが、政府が触れてほしくない部分はきれいに取り除かれている。色情の問題を他人のせいにしているが、根源であるはずの自国の問題には触れずナショナリズムの問題に置き換えているのだ。

 もちろん日本でも未成年者誘拐(未遂)や性犯罪が後を絶たず、女性が主張する「孝悌忠信、礼儀廉恥」は我々日本人にも耳が痛い話だ。「人のふり見て我がふり直す」必要はあるだろう。

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