2024年7月25日(木)

オトナの教養 週末の一冊

2014年9月12日

ーー読んでいて伊藤ゼミの雰囲気が伝わってくるような感じがしました。実際ゼミでも本書にあるような話をされているのですか。

伊藤元重さん

伊藤:そうですね。若い頃はひょっとしたら、僕はもうちょっと怖い先生だったかもしれません。英語の難しい本をガンガン学生に読ませて、準備不足だったり、出来が悪かったりすると、学生に厳しく接したこともありました。ただ長くゼミをやっていると、学生と議論する中で、経済の話だけではなく、自然と政治や外交などの話もするようになります。

ーー東大のゼミは教授と学生が密に話をする雰囲気なのですね。

伊藤:東大の経済学部はゼミを大切にします。若い先生の中には、学生を海外に連れて行き、フィールドワークしたりする人もいる。確かに学生とつきあいは密かもしれません。

ーー「人生にも戦略があっていい」と書かれた序章では、「人生は想定外の連続でもある」とも指摘し、何を大切にするか考えることの必要性を説かれました。

伊藤:そうですね。我々ぐらいの年齢になると、そういう経験の連続です。良いことも悪いこともあるし、物事が思ったように進まない時もある。場合によっては思わぬことでチャンスをつかむこともあるし、逆につまずくこともあります。

ーー順風満帆に見える先生でもつまずくことがあるのですか。

伊藤:しょっちゅうです。あまり気にしないほうですが、実は失敗の連続ですよ。若い頃、かなり満足ゆく論文を書いて雑誌に投稿しました。でも、その少し前に二人の女性学者が非常に似た内容の論文を出していました。そのうちの一人が、ジャネット・イエレン、いまの米連邦準備制度理事会(FRB)の議長です。こちらは当時、大学院生。一生懸命書いたのですが、数カ月の差で向こうに先を越されてしまった。学者の人生というのは、そういうことがいっぱいあります。でも私の場合、それがジャネット・イエレンなので、いまでは自慢話になるのですが。


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